
会長挨拶
日本雪氷学会長 東 信彦
2025年6月
公益社団法人日本雪氷学会の会長として、このたび皆さまにごあいさつ申し上げます。
前期2年間に引き続き、2025年6月より再び会長を務めさせていただくこととなりました。まずは、会員の皆さまならびに関係各位のご支援とご協力に、心より御礼申し上げます。
当学会は、雪や氷に関わる自然科学、社会科学、人文科学など多彩な分野の研究者・技術者・教育者が集い、80年以上にわたり知見を共有し、新たな知識の創出と社会への貢献に尽力してまいりました。この伝統をしっかりと受け継ぎながら、激動する地球環境のもと、さらなる発展を目指してまいります。
現在、地球温暖化が世界各地で進行し、雪氷圏はその影響を最も敏感に受けている地域のひとつです。氷河や氷床の後退、積雪量や極域海氷の減少といった現象が、陸や海の生態系、海面水位、降水パターン、永久凍土などに影響を及ぼし、人々の暮らしにも重大な影響を与えています。こうした現象を正確に把握し、将来を予測することなしには、持続可能な社会の構築は困難です。そのため本学会では、観測・実験・モデリング・リモートセンシング・現地調査など多様な手法を駆使し、基礎から応用にわたる幅広い研究を推進しています。
また、公益社団法人としての責務として、私たちは研究成果を社会に還元する多様な活動にも力を注いでいます。災害時の雪氷災害調査はもちろん、30年以上続く雪崩対策基礎技術研修会、多数の講演会・講習会、さらに「雪氷楽会」などの一般・青少年向け啓発普及活動を実施しています。あわせて、若手研究者や学生の育成にも重点を置いており、研究助成、学会発表の表彰、各分科会によるワークショップや技術研修合宿など、教育プログラムも充実させています。
さらに昨年度より、民間企業と大学・研究機関の連携を促進する「産学・産官共同研究助成基金」を創設し、社会的応用が期待される斬新な研究テーマに挑戦する会員を支援しています。
近年、社会全体が急速な変化を遂げるなかで、私たちの学会もまた新たな局面を迎えています。コロナ禍を経て、オンラインによる会合や研究発表が定着し、さらに生成AIなどの技術革新が研究・教育の在り方を大きく変えつつあります。こうした変化を柔軟に取り入れながら、雪氷に関する学術的探究と社会貢献の両立を目指して、学会活動を一層推進してまいります。
日本雪氷学会は、雪と氷に関わる多様な分野の研究者・技術者が知見を共有し合う貴重な場です。研究分野の垣根を越えた協働、若手とベテランの知の交流、学会と社会との対話を広げながら、雪や氷に関わる課題の解決に取り組んでいきたいと考えております。
現在、会員数の減少という課題にも直面しておりますが、雪氷というテーマが持つ社会的・地球的意義を再認識し、より多くの方々に本学会の魅力を伝える努力を重ねてまいります。支部活動や分科会の活性化、他分野との連携強化などを通じて、学会全体の活力を高めていく所存です。
会員の皆さまには、今後とも変わらぬご支援とご協力をお願い申し上げます。そして、忌憚のないご意見をお寄せいただき、ともに未来の雪氷学を築いていければ幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
定期刊行物
- 『雪氷』 年6回刊・会誌
- Bulletin of Glaciological Research オンライン英文論文誌
雪氷研究大会・全国大会
- 雪氷研究大会講演要旨集 | 雪氷学会全国大会予稿集 | (J-STAGE 2004年度より)
情報公開
- 定款・細則・役員名簿
- 総会資料 (事業報告・決算、事業計画・予算 等)
- 補助金等報告書・支出明細書
- 著作権規定