過冷却水を作ろう!く~るクールくん

過冷却水を作ろう!く~るクールくん


「く~るクールくん」は、水をパイプに通しながらゆっくり冷やすことで過冷却水を作ります。 過冷却水が目の前でできていく様子や過冷却水が凍っていく様子を観察できます。工作や実験手順は少し難しいですが、ぜひ挑戦してみてください。

藤野 丈志 (株式会社興和)

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目次

  1. はじめに
  2. く~るクールくんの作り方
  3. く~るクールくんで過冷却水を作ってみよう
  4. 過冷却水を観察してみよう

1. はじめに

図-1 氷が伸びる不思議な水・過冷却水

上の写真を見ると、パイプからでている水から氷がのびています。なぜでしょう?

この水はマイナスの温度になっていて、ふつうなら凍ってしまう温度です。 でも上手に冷やしてあげると、水はマイナスの温度になっても凍らないことがあります。

このような水を「過冷却水」といいます。

「く~るクールくん」は、水をパイプに通しながらゆっくり冷やすことで過冷却水を作ります。 過冷却水が目の前でできていく様子や過冷却水が凍っていく様子を観察できます。工作や実験手順は少し難しいですが、ぜひ挑戦してみてください。

図-2 くーるクールくん(ペットボトル過冷却水生成装置)

2. く~るクールくんの作り方

材 料

  • 500 mL入りのペットボトル 3 個
  • 水槽用エアーホース(直径 6 mm くらい、2~3 m くらいのシリコン製もの。ホームセンター、100円ショップなどで手に入ります) 【→手に入ればポリエチレン管(内径 3~4 mm くらい)もよい】
  • ストローアダプタ(雑貨店、ホームセンター、100円ショップなどで手に入ります)【→なくてもよい】

道 具

  • カッターナイフ
  • はさみ
  • ビニルテープ、
  • 接着剤(シリコンボンドか、ペットボトルやポリエチレンを接着できるもの)

※注意!
ペットボトルをカッターで切るときには、手を切らないように注意してください。むずかしいと思ったらおうちの人に手伝ってもらいましょう。

手順1:ペットボトルを切る

3 本のペットボトルをそれぞれ冷却タンク、水タンク、スタンドにします。 冷却タンクとスタンド用の 2 本は、飲み口側を切りとり円筒形の容器になるようにします。 水タンク用の 1 本は底近くで底を切りとります。

最初に切り込みを入れるときは力がいるので、おうちの人に手伝ってもらいましょう。

図-3 ペットボトルを切る

手順2:冷却タンクを作る

冷却タンクの切り口にエアーホースを通す切り込みを作ります。 図のようにエアーホースを通す穴を、ちょうど反対側になるように 2 か所を作ります。

エアーホースは、冷却タンクのなかでらせんをつくりながら少しずつ入れます。 片方は 5 cmくらい残してください。きれいに入れるのは少しむずかしいので、おうちの人に手伝ってもらいましょう。 次の説明の通り、あらかじめエアーホースを巻いて作るのも簡単です。

図-3 冷却タンクを作る
※エアーホースをきれいに巻く方法

ラップなどの筒にエアーホースを巻いて、上からテープでとめると簡単にできます。 ホースを巻いてもペットボトルに入るような大きさの筒を使いましょう。

図-4 ラップの芯に巻いて作ったらせん状のエアーホース
図-5 ホースの巻き方

手順3:水タンクとスタンドを作る

ストローアダプタには空気穴があいているので、あらかじめ接着剤でふさいでおきます。 水タンクのキャップをはずして、ストローアダプタにつけかえます。 スタンドは、底から 2 cm 位のこして幅 0.5 cm 位の切り込みを入れます。

ペットボトルのキャップをそのまま使うときは、ストローが通る穴をキリなどであけて短いストローをさしこみ、 水がもれないように接着剤ですきまをふさいで、ストローアダプタのように作ります。

図-6 水タンクとスタンドの作り方

手順4:組み立てる

エアーホースの余った部分を 15~20 cm のこして切り、ストローアダプタに差し込みます。 次に、水タンクが傾かないように、スタンドと水タンクをビニルテープでとめます。 最後に冷却タンクの切り込みにエアーホースをはめて、切り口をビニルテープでとめて完成です。

図-7 組み立て方
図-8 完成した「く~るクールくん」
図-9 冷却タンク内部の様子

3. く~るクールくんで過冷却水を作ってみよう

準備するもの

  • 工作でつくった「く~るクールくん」
  • 500 mL くらい入る容器 2 個
  • 深いお皿 2 枚
  • アルコール温度計
  • 計量スプーン
  • わりばし(かきまぜるための棒)
  • 水道水(1 回の実験で 500 mL くらい使います)
  • かき氷(1 回の実験で 400 g くらい使います(一般的な製氷皿 1 皿分。雪が積もっていたら是非雪を使いましょう)
  • 食塩(1 回の実験で 50 g くらい使います)

手順1:冷却液をつくる

水を 0℃より冷やすための冷却液を作ります。 水道水 150 mL、食塩 40~50 g(大さじ 3~4 杯)を容器に入れ、食塩が全部溶けるまでよくかきまぜます。 全部溶けたらかき氷(雪)200 g(直径 10 cmくらいの玉)を入れてよく混ぜます。

よくまざったら温度計で温度をはかりましょう。 食塩をふやすと温度が下がり、水道水をふやすと温度が上がるので、マイナス 7℃~マイナス 10℃になるように、食塩または水道水を追加しましょう。 また、かき氷(雪)が少なくなってしまったときは追加しましょう。

図-10 冷却液を作る

手順2:過冷却水にする水を作る

過冷却水のもとになる冷たい水を作ります。 かき氷(雪もしくは冷凍庫の氷でもよい)と水道水を容器に入れ、よくかきまぜます。

水道水のかわりにジュースなどのいろいろな飲み物を使ってもよいでしょう。(ただし、実験後のジュースを飲むのは避けてください)

図-11 過冷却水にする水を作る

手順3:過冷却水をつくる

  1. まず過冷却水が出てくる場所に受け皿をおきます。
  2. 過冷却させる水を氷ごと水タンクに入れます。 少しずつパイプの中に水が流れていくので、パイプの中の空気が全部ぬけてなくなるまで待ちましょう。
  3. 空気が全部ぬけたら冷却液を冷却タンクに入れます。中のパイプが全部しずむまで入れましょう。 ここで、受け皿をもう一枚と入れ替え、もとの受け皿にたまった水は水タンクにもどします。
  4. 受け皿の中に雪(かき氷、製氷皿の氷でもよい)をおきます。 1~2分待つと水は冷却タンクの中でマイナスの温度まで冷やされて過冷却水になって出てきます。
  5. 過冷却水の落ちる先に氷のたけのこ(氷筍(ひょうじゅん)といいます)がのびてきます。
図-12 実験手順

4. 過冷却水を観察してみよう

  • 過冷却水に触ってみましょう。
  • 過冷却水が凍って氷筍が伸びる様子を観察してみましょう。
  • 右の表を参考に、冷却液の温度をかえたり水の出る量を変えて、氷筍の形や伸びる速さを観察してみましょう。
表-1 過冷却水の温度と出てくる量のかえ方
方法 過冷却水の温度 過冷却水の量
スタンドを高くする 上がる 増える
スタンドを低くする 下がる 減る
冷却液の温度を下げる 下がる (変わりません)
冷却液の温度を上げる 上がる (変わりません)
図-13 過冷却水の温度がマイナス 2℃より低いときにできる氷筍

・白くにごった色で円柱形になります

図-14 過冷却水の温度がマイナス 1℃より高いときにできる氷筍

・透明で平たい形になります。

図-15 氷筍が伸びていく様子。

どのくらいの速さで氷筍が伸びるか記録してみましょう。

図-16 写真撮影の例

青い紙をうしろにおいて、カメラをマクロモード(チューリップマーク)にして、なるべく近くからフラッシュをつけて撮影すると、きれいな写真がとれます。

過冷却水が止まってしまったときは…

冷却液の温度が低すぎたり、よく食塩がまざっていなかったときなど、 パイプの中で水が凍ってしまい、過冷却水がとまることがあります。

次のような手順でもう一度実験しましょう。

  1. まず冷却液をもとの容器に全部もどします。
  2. パイプの中の氷がとけて、ふたたびもとの勢いで水が出てくるまでしばらく待ちます。
  3. 冷却タンクに冷却液を入れます。冷却液の温度が高くなっていた場合は、食塩とカキ氷を追加してましょう。
  4. 受け皿の水がたまっていた場合は、その水を水タンクに手早くもどします。
  5. 受け皿の中に雪をおきます。
図-17 やり直し手順

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