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雪氷学は面白い(45年前の体験から)

北大名誉教授・小島 賢治

雪氷学は面白い(45年前の体験から)


kojima.jpg1950年代の中頃、私の雪氷研究の先輩であったO先生の積雪沈降力(雪の沈みこみを妨げる雪中構造物にかかる雪の力)の研究に必要な資料として、その実験地の積雪の密度(単位体積の雪の質量)を私が測ることになった。場所は札幌のほか、朝の気温-30℃、雪の深さ2mも珍しくない雨竜郡母子里でも実験、電柱支線の雪害調査では、ニセコ山中の深さ4mの雪にも挑んだ。私の役目は、雪の表面から地面までの雪の密度の垂直分布を(札幌では冬中)数日毎に測ることであったが、その作業の過程で、積雪の沈降圧密に関連して、いろいろと面白い研究材料があるのに気がついた。

 密度を測るには雪の表面から地面までの穴を掘って、雪の壁にサンプラーを差しこんで決った体積の雪を採取して目方を測る。札幌の雪は冬でも時々融けるので、雪の壁には黒っぽく見えるざらめ雪の水平の縞が沢山あって、雪の密度分布も不規則なことが多い。それに比べて、寒い母子里の雪は真冬なら大抵上から下までまっ白で、密度の垂直分布も積雪に特有な形のなめらかな曲線で代表される。これにはなにか理屈があるに違いないと考えた。ある厚さの雪の層が、それより上の雪の重みで徐々に厚さを減じる時の「縮み難さ」を表わす「圧縮粘性率」を求めて、雪の密度との関係を経験式で表わした。この予定外の成果にO先生は大変喜んだ。沈降力の解析に役立ったらしい。私自身の関心事「雪の密度の垂直分布の形を理論的に導くこと」もなんとかうまく行った。ついでに、積雪深さの時間変化など雪の沈降圧密に付随する現象の幾つかを、(1日に雨量換算で何ミリ降り積るかという)降雪強度から計算で導く方法などをまとめて発表した。興の趣くままに進めた研究がその後、不備は多々あるのだが、ダム集水域の積雪水量の推定、なだれの予測その他色々と利用されたことは嬉しいことである。

(北大名誉教授・小島 賢治)

 

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