2014年度

2014年度気象水文分科会・凍土分科会合同分科会ならびに気象水文分科会総会


日時:9 月 20 日(土)研究会17:30~19:00,総会19:00~19:30

場所:雪氷研究大会(2014・八戸)研究会:210講義室 (教養棟旧館),総会:G204講義室 (八戸工業大学)

 

●気象水文・凍土会合同分科会

今年度のオーガナイズドセッションは,凍土分科会と合同で「凍土と気象水文のクロスカッティン」というテーマで開催した.セッションの趣旨は,近年の技術や研究の進展によって生み出された新たな知見に対して,分野横断的な議論を行うことを目的とした.話題提供者は3名で,気象水文分科会からの推薦は名古屋大の小谷亜由美氏であり,他2名は凍土分科会から推薦された澤田結基氏と凍土分科会長でもある石川守氏であった.小谷氏からは,「東シベリアのカラマツ林でみられる凍土 −森林−大気のかかわりー」という題で話題提供があり,自身が得た観測研究の成果のみに留まらず、東シベリアのヤクーツク近郊のカラマツ林における包括的な近年の研究成果が話された.活動層の湿潤化によってカラマツの枯死が一部で発生している一方、下層植生の繁茂によって森林から大気に供給される蒸発散量は大きく変化していないということが報告された。澤田氏からは、「「しばれ」をテーマにした,とかち鹿追ジオパークの取組」という題での話題提供があった。教育やツーリズムという観点から、寒さや凍土を紹介する取り組みであり、地元の小中高によっても関連教育プログラムが授業に取り入れられていると言うことであった。こうした取り組みを通して、新たな町おこしにもつながる興味深い内容であった。最後に石川氏からは、「地域の生態系サービスを支える凍土とその持続的な動態監視に向けて」という題で、モンゴルにおける取り組みが紹介された。長期的な観測は予算の確保が難しく大きな困難が伴う。そこで、長期的な凍土観測に対して、地元のコミュニティと如何にして科学者は協力関係を築き、その結果として科学者と地元コミュティの両者が恩恵を受けるための仕組みに対する考察が行われた。

 

●総会

議長:太田岳史会長

(1)次期会長選出

分科会総会では、今年度で任期が終了する太田岳史会長の後任を選出することが最大の議題であった.最初に立候補者を募ったが立候補者がいなかったため,太田会長が東北大の山崎剛氏を指名し,山崎氏が承諾し、満場一致の同意の下に次期会長に山崎氏が選出された.続いて次期幹事長についての選出が行われ,次期会長の山崎氏より川瀬宏明氏(気象研)にお願いしたいとの指名があり,川瀬氏が次期幹事長に内定した.

(2)事業計画・収支報告

事務局の鈴木より,2012年度の収支報告と簡単に今年度の事業計画を報告した.また,収支報告では,収入・支出とも0円,収支0円であることを報告する.

(3)その他

毎年,分科会セッションに参加する参加者が少ないことが取り上げられ,学生や若手研究者に魅力ある組織へと改善策を講じる必要があることや、極論としては細分化する分科会の現状を考え、気象水文分科会の廃止についても検討する必要があるのでは無いかとの意見も出された.

 

(海洋研究開発機構・地球表層物質循環研究分野 鈴木和良)

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