受賞論文
北海道雪氷賞(北の風花賞・北の六華賞・北の蛍雪賞)受賞者一覧(受賞者名のみ)
年度 | 受賞者(所属組織※) ※受賞時 |
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2024年度 |
【北の風花賞】張 佳晏氏(北海道大学低温科学研究所・北海道大学環境科学院) 【北の六華賞】千葉 隆弘氏(北海道科学大学工学部) 【北の蛍雪賞】苫米地 司氏(北海道科学大学) 松岡 直基氏(北海道気象技術センター) |
2023年度 |
【北の風花賞】石井 日菜氏(北見工業大学大学院 工学研究科) 【北の六華賞】永田 泰浩氏(北海道開発技術センター) 【北の蛍雪賞】石本 敬志氏(NPO法人雪氷ネットワーク) ※2023年度のリンク内に、受賞者の声を掲載しております。 |
2022年度 |
【北の風花賞】波多 俊太郎氏(北海道大学低温科学研究所) 【北の六華賞】日本雪氷学会北海道支部 雪氷災害調査チーム(2022・札幌大雪) 曽根 敏雄氏(北海道大学低温科学研究所) 【北の蛍雪賞】高橋 修平氏(北海道立オホーツク流氷科学センター所長、北見工業大学名誉教授) ※2022年度のリンク内に、受賞者の声を掲載しております。 |
2021年度 |
【北の風花賞】矢作 大輔 氏(北見工業大学大学院) 【北の六華賞】小西 信義 氏(北海道開発技術センター) 【北の蛍雪賞】山田 知充 氏(NPO法人雪氷ネットワーク) 2021年度受賞者の声 |
2020年度 |
【北の風花賞】渡辺由梨加 氏(北見工業大学大学院) 【北の六華賞】下山宏 氏(北海道大学低温科学研究所) 日本雪氷学会北海道支部 雪氷災害調査チーム 【北の蛍雪賞】前野紀一 氏(北海道大学名誉教授 2020年度受賞者の声 |
2019年度 |
【北の風花賞】藤支良貴 氏(北海道大学大学院環境科学院) 【北の六華賞】白川龍生 氏(北見工業大学地球環境工学科) 【北の蛍雪賞】竹内政夫 氏(NPO法人雪氷ネットワーク) 2019年度受賞者の声 |
2018年度 |
【北の風花賞】黒﨑豊 氏(北海道大学 大学院環境科学院・低温科学研究所) 【北の六華賞】杉山慎 氏(北海道大学低温科学研究所) 【北の蛍雪賞】秋田谷英次 氏(雪氷ネットワーク) |
2017年度 |
【北の風花賞】呉廸 氏(北海道大学大学院環境科学院) 【北の六華賞】佐藤賢治 氏(土木研究所 寒地土木研究所) 【北の蛍雪賞】東海林明雄 氏(湖沼雪氷研究所) |
2016年度 |
【北の風花賞】鑓野目純基 氏(北海道文教大学大学院) 【北の六華賞】大廣智則 氏(ネクスコ・エンジニアリング北海道) 【北の蛍雪賞】油川英明 氏(NPO法人 雪氷ネットワーク) 【北の蛍雪賞】須田 力 氏(NPO法人 雪氷ネットワーク) |
2015年度 |
【北の風花賞】森下裕士 氏(北見工業大学大学院) 【北の六華賞】八久保晶弘 氏(北見工業大学) 【北の蛍雪賞】斎藤新一郎 氏(北海道開発技術センター) |
2014年度 |
【北の風花賞】斉藤潤 氏(北海道大学低温科学研究所) 【北の風花賞】佐藤雄輝 氏(北海道科学大学大学院工学研究科建築工学専攻) 【北の六華賞】松岡直基 氏(日本気象協会) |
2013年度 |
【北の風花賞】山橋いよ 氏(北海道大学大学院) 【北の六華賞】根本昌宏 氏(日本赤十字北海道看護大学) |
2012年度 |
【北海道雪氷賞(北の風花賞)】中村一樹 氏(北海道大学大学院環境科学院) 【北海道雪氷賞(北の風花賞)】伊東敏幸 氏(北海道工業大学) 【北海道雪氷賞(北の風花賞)】尾関俊浩 氏(北海道教育大学札幌校) |
2011年度 |
【北海道雪氷賞(北の風花賞)】小西信義 氏(北海道大学大学院文学研究科) 【北海道雪氷賞(北の風花賞)】千葉隆弘 氏(北海道工業大学) |
2010年度 |
【北海道雪氷賞(北の風花賞)】金村直俊 氏(札幌総合情報センター) 【北海道雪氷賞(北の風花賞)】ヌアスムグリ・アリマス 氏(北見工業大学) |
※2012年度までは、全て「北海道雪氷賞(北の風花賞)」として表彰。2013年度以降は、「北の風花賞」「北の六華賞」「北の蛍雪賞」として表彰。 |
北海道支部表彰(北の風花賞、北の六華賞、北の蛍雪賞)の受賞者・論文の紹介
2024年度 北海道雪氷賞
【北の風花賞】
張 佳晏 氏(北海道大学低温科学研究所・北海道大学環境科学院)
論文名: 「アラスカ南東部タク氷河が前進から後退に転ずる時期の氷河末端位置と流動速度の変化」
選考理由: 多くの氷河が後退を続ける中で、著者はアラスカにある特徴的な挙動を示す氷河に着目しました。本論文は、質量損失の加速が著しいアラスカの氷河において、近年まで唯一前進していたが近年後退に転じたタク氷河について、人工衛星データを用いて詳細に調べています。解析の結果、前進から後退に転じるタイミングが氷河末端のセクションごとに異なることを明らかにし、その原因として、氷河湖の形成や表面流動速度の変動等の影響について論じています。南東アラスカ大学との国際共同研究の枠組みを活かした実地観測を実施するなど、今後のさらなる研究の発展が見込まれることから、「北の風花賞」受賞論文として選考されました。
【北の六華賞】
千葉 隆弘 氏 (北海道科学大学工学部)
論文名: 「北海道における雪による人身事故の発生状況について −2020 寒候年以降における事故の発生状況と拡大要因に関する分析−」
選考理由: 近年の北海道における、屋根の雪下ろしに起因する人身事故は、積雪の多寡にかかわらず高い割合で推移していることから、その原因究明が期待されていました。 本論文では各種統計資料を用いることで、雪による死傷者数と積雪状況との関係や、高 齢化率との関連等が調査され、高齢化率の増加が雪による人身事故リスクを高めている ことが明らかとなりました。さらに、札幌市と秋田県横手市の木造住宅の屋根雪処理の 違いに注目し、雪下ろしのためのはしごや雪止めが設置されない札幌市では、雪下ろし 事故が拡大していることを指摘しました。北海道と本州の建築文化の相違が雪下ろし事 故の原因に関連していることを示した点は独創的であり、将来の事故の軽減に寄与する、社会貢献の期待される研究です。このことから、北海道の雪氷研究に貢献する論文として、「北の六華賞」の受賞論文として選考されました。
【北の蛍雪賞】
苫米地 司 氏(北海道科学大学)
受賞名: 建築物と雪害に関する研究の発展ならびに支部活動への貢献
選考理由: 苫米地司氏は、1981 年の「56 豪雪」を契機に、建築と雪をテーマとした研究に長年取り組み、それまで研究が十分に進んでいなかった建築物と雪害の分野の発展に大きく貢献されました。模擬雪を用いた吹雪風洞装置を開発し、吹雪風洞実験に基づいて屋根積雪形状の形成要因、屋根雪庇の防止技術、住棟周辺の吹きだまり対策についても多くの成果を挙げられました。また、大規模なドームなどで用いられる膜構造建築物を対象に、滑雪を利用した屋根雪処理方法に関する研究を通して合理的な屋根積雪荷重の評価を推進され、雪氷学のみならず、積雪地域に適した建築物の発展に多大な寄与をされました。 さらに、2015 年度から2018 年度までの4 年間にわたり日本雪氷学会北海道支部長を務めるとともに、長年にわたり北海道支部研究発表会で発表を重ね、後進の指導にも尽力されるなど、日本雪氷学会北海道支部の発展に重要な役割を果たされました。 以上の功績を称え、苫米地氏に「北の蛍雪賞」を贈呈いたします。
松岡 直基 氏(北海道気象技術センター)
受賞名: 雪氷災害に対する研究の発展ならびに防災活動への貢献
選考理由: 松岡直基氏は、1975 年に財団法人日本気象協会北海道支社に入社後、株式会社北海道気象技術センターに所属し、大雪や吹雪による雪氷災害の気象特性に関する研究に取り組むとともに、気象予報士として防災に関する普及啓発活動に尽力されています。 特に、甚大な被害のあった2013 年3 月の猛吹雪と、比較的被害の小さかった翌年の吹雪を比較し、気象条件の違いだけでなく、防災情報の改善や住民意識の向上が災害被害軽減に寄与したことを明らかにされました。このような成果を社会に還元するため、一般市民から行政防災担当者まで幅広い対象に講演を行い、インフラ管理者に対してはメール等により暴風雪への警戒の呼びかけを早期に行うなど、積雪寒冷地の安全な社会生活に貢献されています。また、気候変動の影響下で激甚化する北海道の気象現象の予測に向け、経営者として2019 年から2024 年にかけて北海道大学大学院理学研究院に「北海道気象予測技術分野」についての寄附講座の設置に尽力され、雪氷災害への関連が深い気象・気候分野においても多大な功績を挙げられました。 さらに、毎年の日本雪氷学会北海道支部研究発表会での積極的な発表に加え、支部評議員や日本雪氷学会の監事を務められるなど、日本雪氷学会北海道支部の発展にも寄与されました。 以上の功績を称え、松岡氏に「北の蛍雪賞」を贈呈いたします。
2023年度 北海道雪氷賞
【北の風花賞】
石井 日菜 氏(北見工業大学大学院 工学研究科)
論文名: 「北海道オホーツク地域における湿雪と気象要素 -2022 年 12 月下旬の湿雪とその影響-」
選考理由: 本論文は、オホーツク海側で発生した厳冬期における湿雪の特性と、その 湿雪をもたらした気象要素の特徴について整理された論文になります。論文中では丁寧 なデータ解析がなされており、被害をもたらした厳冬期の湿雪に関する事例研究として は価値が高いと考えられます。まだ調査内容については不足している点も見受けられま すが、気象関連の論文は 1〜2年経過してから報告されることが多い中、昨年度の事象 を素早くまとめ報告したことに大変意義があると考えます。気候変動の観点からも今後 の研究の発展が期待されることから、「北の風花賞」受賞論文として選考されました。
・受賞コメント
北見工業大学大学院に在籍しておりました、石井 日菜と申します。この度は、北の風花賞という身に余る賞をいただき、大変光栄です。
また、本研究論文に対して 評価に関わっていただいた方々や、私の指導教員であった白川龍生先生、研究室関係の皆さん、そして、研究に対するご助言を頂いた皆様に、心から感謝申し上げます。
本研究は、北海道オホーツク地方では異例である、2022年12月に生じた厳冬期の湿雪に焦点を当てたものです。この湿雪は、たとえば北海道紋別市や遠軽町において、着雪による送電線の倒壊を引き起こした原因とされています。
本研究論文は、昨年5月までの数ヶ月という非常に短期間でまとめた内容でしたが、それでも、研究成果の重要性を認識していただけたことを大変嬉しく思います。
現在、私は研究の現場を離れておりますが、この研究論文が気象・雪氷分野のみならず、分野の垣根を超えて、少しでも社会に貢献できることを心から願っております。
この度は本当にありがとうございました。
【北の六華賞】
永田 泰浩 氏 (北海道開発技術センター)
論文名: 「車載カメラの画像を用いた吹雪時の視界状況評価」
選考理由: 吹雪に伴う視程障害は、交通障害や道路の通行止めを引き起こすなど社会 的な影響が大きいものの、吹雪の状態は時空間的な変動が大きいため、実態の把握に課 題があります。視程障害環境において、車載型カメラ画像収集システムを利用し、冬期 を通じて安定的に視界状況評価のデータを収集・蓄積する実用的なしくみを構築された 本論文の吹雪時の視界状況の評価技術は、従来の定点観測では不十分だった穴を埋める 手段として今後の発展が望まれます。さらなる改善点が示されている段階ではあります が、既往研究のレビューを含む研究論文として内容は高く評価できること、また本研究 の進展により吹雪対策・対応への社会貢献が期待されることから、北海道の雪氷研究に 貢献する論文として、「北の六華賞」の受賞論文として選考されました。
・受賞コメント
北の六華賞という素晴らしい賞をいただき、大変光栄に思っております。これまで、いろいろな方にご指導をいただき、刺激をいただき、また、受賞論文も、地域の人の多大なるご支援、ご協力があったからこそ進められた研究であり、関係いただいた皆様に深く感謝しております。今後は、得意の宴会係だけではなく、研究者としても、お世話になった皆様に恩返しをできるように頑張ります。
【北の蛍雪賞】
石本 敬志 氏(NPO 法人雪氷ネットワーク)
受賞名: 道路吹雪対策技術の発展ならびに支部活動への貢献
選考理由: 石本敬志氏は、昭和 48 年に北海道開発局土木研究所に入所されて以降、 長年にわたり道路の吹雪対策に関する研究に取り組まれてきました。例えば、防雪切 土の防雪効果を解明してその設計方法を確立され、また道路防雪林における視程障害 緩効果を明らかにされました。これらはいずれも国内では初めての試みで、その研究 は吹雪対策の整備促進と普及に寄与し、吹雪災害防止に多大な貢献をされておりま す。さらに、降雪や吹雪による視程の特性に着目し、画像処理により視程を計測する 手法を開発されたことも、冬期道路の安全性向上に寄与するものとして評価されま す。また、2013 年~2014 年度には北海道支部長、そのほかにも日本雪氷学会の理事や 編集委員長を務められるなど、長きに渡って日本雪氷学会北海道支部の発展に重要な 役割を果たされています。以上のことから、石本氏に「北の蛍雪賞」を贈呈致します。
・受賞コメント
私は北海道開発局寒地土木研究所で道路の吹雪対策を研究する機会に恵まれ、竹内さんが直属の上司で指導いただきました。最初にした仕事で、過去の北海道の国道の通行止め資料から、通行止めの8割近くが吹雪によるもので、北海道近海で急速に発達する温帯低気圧がその主要因であることを土木試験所月報に発表しました。
具体的な吹雪対策としては、防雪切土や防雪林、道路標識の着雪対策などを通して、供用中の道路でその研究成果の是非を確かめられるとても魅力的な職場でした。防雪切土は構造物を作らずに、斜面で風の剥がれを抑制し安全に雪を溜められます。道路防雪林は林帯が狭くても風が強く吹雪量が多いほど、視程障害緩和効果を大きくできます。道路標識を前傾させ、よどみ点の位置を変える方法も、いまや雪国の定番になっています。道路監視用ビデオ画像の画面の輝度分散度合と吹雪時の視程障害程度を関連させる研究は、その後北大の萩原先生や永田さんが発展させてくれました。どの研究も職場や上司、現場の理解なしにはできませんでした。
国道の雪害対策では、北海道開発局、北海道道路管理技術センター、現場技術者の方々とも本音で、真剣な議論が可能だったことを思い出します。
在職後半から退職後の、PIARC2002札幌大会実現には、国土交通省・道路協会はもとより、原さんをはじめとする北海道開発技術センターの協力が不可欠でした。TRBを含め道路雪氷分野の国際交流がこれからも充実・発展することを祈り、この受賞に感謝します。
2022年度 北海道雪氷賞
【北の風花賞】
波多 俊太郎 氏(北海道大学低温科学研究所)
論文名: 「利尻島ヤムナイ沢雪渓における2021年現地調査報告」
選考理由: 雪渓研究は雪氷変態、氷河の遷移体、気候変動の指標、水収支の理解等の上で重要な分野となります。本論文は、日本の北端に位置する利尻島の多年性雪渓であるヤムナイ沢雪渓を調査した研究になります。ヤムナイ雪渓に関する調査例は少なく、基礎的なデータも不足しています。本論文における雪渓の表面状態(土砂被覆等)、融解量、標高変化に基づいた雪渓の流動や質量収支に関する測定結果は、多年性雪渓なのか氷河なのかを判断するためには必須の情報であり、雪氷学や気候学にとって重要な基礎的なデータとなります。まだ観測年や調査項目が少ない結果ではありますが、調査対象として斬新であり、今後の発展が期待されることから、「北の風花賞」受賞論文として選考されました。
・受賞コメント
始まったばかりの研究にもかかわらず注目頂いただき身に余る光栄です。
ご期待に応えるべく調査研究に邁進いたします。
【北の六華賞】
日本雪氷学会北海道支部 雪氷災害調査チーム(2022・札幌大雪)
論文名: 「2021-2022年冬期の札幌都市圏における大雪について」
選考理由: 雪氷災害調査チームは、2007年に本支部会の社会貢献事業の一環として創設されました。雪氷災害調査のみならず災害の回避、被害の軽減対策に資する情報を公平中立な立場から発信し、社会に貢献することを責務とした団体です。そのため、社会的影響の大きな雪氷災害発生時には、調査チームを現場に派遣してその実態を調査することも重要な役割となっています。雪氷災害調査チームの活動はこれまで雪崩災害防止に関連するものが多く、雪崩に関する一連の調査報告に対して2020年度にも「北の六華賞」を受賞していますが、本誌に投稿された一連の論文は、2022年1〜2月の札幌都市圏における大雪に関する調査報告であり、新たなメンバーも加わり、降雪、気象、積雪等の科学的な分野だけでなく、高速道路状況、救急搬送、屋根雪等の生活に関わる分野まで、幅広く調査・分析を行っています。そのすみやかな結果公表と論文発表、及び社会への注意喚起など、雪氷災害調査チームの活躍は特筆されるものと考えられます。したがって、雪氷学の発展だけでなく雪氷災害や寒冷地における生活に関する社会貢献に顕著な役割を果たす研究と認め、「北の六華賞」の受賞論文として選考されました。
・受賞コメント(北海道教育大学札幌校:尾関 俊浩氏)
一連の調査研究を評価していただき誠にありがとうございます。また,迅速に活動してくれた有志の皆様に感謝申し上げます。調査チームHPには大雪調査の最終報告書を掲載しましたのでご覧下さい。
2021-2022 年冬期の札幌都市圏における大雪の調査報告
曽根 敏雄 氏(北海道大学低温科学研究所)
論文名: 「北海道置戸町鹿ノ子ダム左岸の風穴地における地温変化」
選考理由: 近年の観測結果から、日本の永久凍土は山岳寒冷地の限られた地点でしか確認されていない状況です。越年性凍土の長年にわたる国内の越年性凍土に関する研究や地温変化の観測データは、凍土研究だけでなく、過去の日本の気候変動を評価し、今後について予測する上で非常に貴重な情報であり、これを継続的に行われてきたことを評価すべきであると判断しました。これまでの調査の成果を含め、北海道の雪氷研究に貢献する論文として、「北の六華賞」の受賞論文として選考されました。
・受賞コメント
院生時代から続けた研究を評価して頂き、誠に光栄です。研究のきっかけを与えた下さった福田正己先生をはじめ関係した方々に感謝いたします。
【北の蛍雪賞】
高橋 修平 氏(北海道立オホーツク流氷科学センター所長、北見工業大学名誉教授)
受賞名: 雪氷学や雪氷防災研究の発展ならびに支部活動や社会への貢献受賞理由: 高橋修平氏は氷河・氷床研究の著名な研究者であるだけでなく、寒冷地雪氷災害や路面凍結、吹雪、雪氷の冷熱利用等の幅広い範囲分野でご活躍され、雪氷学や防災の研究の発展に貢献されてきました。北見工業大学在職時は、日本雪氷学会北海道支部の研究発表会において上記の研究成果について継続的にご発表され、北見工業大学をご退職後もオホーツク流氷科学センター所長として雪氷研究の普及活動等の社会貢献を続けられております。2010年〜2012年までは北海道支部長、2015年〜2018年までは雪氷学会本部の会長職も務められ、2019〜2021年度までは監事として北海道支部の運営に携われるなど、長きに渡って日本雪氷学会ならびに北海道支部の発展に重要な役割を果たされています。以上のことから、高橋氏に「北の蛍雪賞」を贈呈致します。
・受賞コメント
支部長時代に「北の風花賞」を創設しましたが、巡り巡って「北の蛍雪賞」を頂くことになり、感慨深いものがあります。
2021年度 北海道雪氷賞
【北の風花賞】
矢作 大輔 氏(北見工業大学大学院)
論文名: 「積雪および粉末氷から生成したメタンハイドレートの純度に比表面積が及ぼす効果」
選考理由: メタンハイドレートはエネルギー資源としてだけでなく、天然ガスの輸送・貯蔵 媒体としても注目されていますが、生成時に水とガスの攪拌時に発生するエネルギー損失 が発生する課題があることから、より効率的な生成法の検討が重要であると考えられます。本論文は積雪や粉末氷にメタンガスを加圧し、メタンハイドレートを生成する手法を検討されたものです。雪や氷を利用した生成方法は、寒冷地である北海道で実施される研究として興味深く、また氷試料の比表面積や生成温度と生成するメタンハイドレートの純度の関係について明らかにしつつあり、メタンハイドレートの効率的な生成法の確立に貢献できることが期待されます。よって今後の発展が期待されることから、「北の風花賞」受賞論文として選考されました。
【北の六華賞】
小西 信義 氏(北海道開発技術センター)
論文名: 「コロナ禍における雪かきボランティアの受入意向からみる諸課題」
選考理由: 高齢化社会となった現代において、豪雪地帯における雪かきボランティアは雪処理の重要な担い手となっています。一方で、コロナという特殊な状況下では、支援者の確保だけでなく、受援者である受け入れ地域の住民の希望や体制なども重要となります。本論文は、地域や年齢等の属性別等のクロス集計を行うことで、コロナ禍におけるボランティア受け入れ問題について集計し、今後の広域的な雪処理支援の再構築に向けた課題について提示したものです。本論文の成果は、コロナだけでなく感染症拡大状況下や災害時におけるボランティア活動全体に対しても重要な参考データになることが期待されます。従って、雪氷学の発展や積雪寒冷地への社会貢献に顕著な役割を果たす研究と認め、「北の六華賞」受賞論文として選考されました。
【北の蛍雪賞】
山田 知充 氏(NPO法人雪氷ネットワーク)
論文名: 「幅広い分野における雪氷学への貢献」
選考理由: 山田知充氏は、近年のネパールにおける氷河湖決壊洪水の研究で著名な研究者でいらっしゃいますが、北海道大学低温科学研究所在職時には、山地積雪や南極氷床、氷河水文、氷河湖、道路防災に至るまで幅広い分野でご活躍され、雪氷学の研究発展に貢献されました。北海道大学退職後も NPO 法人雪氷ネットワーク理事長として主に北海道内の雪氷災 害現場へ赴き、災害防除に関する助言など、社会貢献を続けられました。2006 年~2009 年まで北海道支部長として、2010 年~20011 年までは支部評議員も務められ、支部の発展に重要な役割を果たされました。以上のように、長きに渡って北海道における雪氷学の発展と、日本雪氷学会ならびに北海道支部の運営に対する山田氏の貢献は多大であることから、「北の蛍雪賞」を贈呈致します。
2020年度 北海道雪氷賞
【北の風花賞】
渡辺由梨加 氏(北見工業大学大学院)
論文名: 「AMSR2データを用いた北極海一年氷の海氷厚推定アルゴリズムの改良」
選考理由: 地球の平均気温の上昇に伴う北極海における海氷面積の変動は、北半球における熱収支だけでなく、石油や天然ガス等の資源開発や、我が国の経済活動に関わる北極海航路開発においても重要な情報となります。特に、多年氷のみならず厚さ1m以下の海氷面積(一年氷)の変動も貴重な情報となるため、一年氷を含めた海氷厚を詳細に把握することが求められています。本論文は、既存のアルゴリズムを改良することによって、推定することが難しかった一年氷の海氷厚推定を可能にしました。また、文章の書き方やデータ解析ならびにグラフの表現が良好であることに加え、改善点や問題点がしっかりと整理されています。従って、本論文は資源開発や経済活動を支える北極海航路開発等において重要な研究となり得るものであり、更なる研究の発展が期待されることから、「北の風花賞」受賞論文として選考されました。
【北の六華賞】
下山宏 氏(北海道大学低温科学研究所)
日本雪氷学会北海道支部 雪氷災害調査チーム論文名: 「2020年冬季に北海道で発生した雪崩に関する一連の調査報告」
選考理由: 雪氷災害調査チームは、2007年に本支部会の社会貢献事業の一環として創設されました。雪氷災害調査のみならず災害の回避、被害の軽減対策に資する情報を公平中立な立場から発信し、社会に貢献することを責務とした団体です。そのため、社会的影響の大きな雪氷災害発生時には、調査チームを現場に派遣してその実態を調査することも重要な役割となっています。本誌に投稿された一連の論文は、2020年1月~2月に多発した雪崩に関する調査報告であり、雪氷災害の迅速な現地調査、現地の気象と関連付けた雪崩発生に関する綿密な分析とそのすみやかな結果公表と論文発表、及び社会への注意喚起など、下山宏氏と雪氷災害調査チームの活躍は特筆されるものと考えられます。従って、雪氷学の発展だけでなく雪氷災害に関する社会貢献に顕著な役割を果たす研究と認め、「北の六華賞」受賞論文として選考されました。
【北の蛍雪賞】
前野紀一 氏(北海道大学名誉教授)
論文名: 「雪氷物理学への功績、及び雪氷の面白さの普及啓発活動」
選考理由: 前野紀一氏は、「雪氷の構造と物性」をはじめとする数々の論文や書籍を執筆し、雪氷物理学分野における礎を築かれました。北海道大学低温科学研究所を退職後も、精力的に雪氷研究大会や北海道支部主催の研究会にも参加され、貴重な講演および後進の研究者等に適切に助言を行うなど、日本雪氷学会全般において多大な貢献をされています。また、子供や一般向けの科学相談や実験および出前授業などを通して北海道の雪氷研究の裾野拡大にも尽力されています。1996年~1998年には北海道支部の支部長に加え国際雪氷学会(IGS)会長を、2000年~2001年に支部理事、2002年~2008年には支部評議員として北海道支部を支えてこられ、支部の発展に重要な役割を果たされました。以上のように、北海道における雪氷学の発展と、日本雪氷学会ならびに北海道支部の運営に対する前野氏の貢献は多大であることから、「北の蛍雪賞」に選考されました。
2019年度 北海道雪氷賞
【北の風花賞】
藤支良貴 氏(北海道大学大学院環境科学院)
論文名: 「グリーンランド北西部ボードイン氷河前縁のフィヨルドにおける水温・塩分・流速の長期係留観測」
選考理由: 氷床や氷河の融解は、近年の海水準の上昇に大きく寄与し、北海道の沿岸のみならず世界各国の住環境や経済活動に影響をもたらすため、そのメカニズムを明らかにすることが不可欠と考えられます。本論文はグリーンランド、ボードイン氷河が流入するフィヨルドにおいて、技術的に困難な1年間の長期海洋観測を実施したものです。氷河の底面から排出される融解水が海水循環に果たす役割と、氷河末端の水中融解に与える影響を明らかにしつつあり、グリーンランドにおける氷河氷床変動の理解に貢献するものです。よって今後の発展が期待されることから、「北の風花賞」受賞論文として選考されました。
【北の六華賞】
白川龍生 氏(北見工業大学地球環境工学科)
論文名: 「機械学習を用いた積雪粒子画像の自動判定法」
選考理由: 積雪粒子は、気温、降雪量や降雪後の経過時間により多彩な形状を示すため、雪氷学に精通していても雪質を正確に判定することは容易ではありません。本論文は、最新の機械学習法を取り入れた手法によって、雪質の自動判定に成功したものです。これまで問題となっていた、観測者の主観が影響する可能性を排除し、機械学習法による客観的な雪質の判定を初めて可能にしました。本論文の成果は、雪崩の危険性評価および積雪モデルの検証など、雪氷防災や環境変動分野だけでなく、雪氷教育分野への貢献も大きく期待されます。従って、雪氷学の発展や積雪寒冷地への社会貢献に顕著な役割を果たす研究と認め、「北の六華賞」受賞論文として選考されました。
【北の蛍雪賞】
竹内政夫 氏(NPO法人雪氷ネットワーク)
論文名: 「雪氷防災に関する社会貢献と啓発活動」
選考理由: 竹内政夫氏は、道路吹雪対策マニュアルの発刊に大きく貢献するなど、道路吹雪対策の礎を築かれました。北海道開発局開発土木研究所(現・寒地土木研究所)退職後も、精力的に道路雪氷に関する調査研究を続け、日本雪氷学会北海道支部の研究発表会において継続的に、吹雪、雪崩、着氷雪に関する発表を行っています。特に、道路雪崩に対しては、北海道開発局の道路防災有識者として全道各地の雪崩発生現場に労を厭わず数多く出向き、多くの助言を行っています。これらの活動を通じて、様々な角度から現象を解明し、道路維持管理での新たな問題点を浮き彫りにするとともに、その解決策について提言する等、道路雪崩対策に大きく貢献しています。また、竹内氏は、道路雪氷を中心とした雪氷研究の普及にも力を入れ、若手雪氷研究者や技術者の交流や情報交換の場を設けるなど、北海道の雪氷研究の裾野拡大にも尽力されています。1994年度~2001年度には副支部長、2002年度~2005年度には支部長として北海道支部の運営に携われたほか、随所で貴重な提言をされるなど、長きに渡って日本雪氷学会北海道支部の発展に重要な役割を果たしました。以上のように、北海道における雪氷学の発展と、日本雪氷学会北海道支部の学会運営に対する竹内氏の貢献は多大であることから、「北の蛍雪賞」に選考されました。
2018年度 北海道雪氷賞
【北の風花賞】
黒﨑豊 氏(北海道大学 大学院環境科学院・低温科学研究所)
論文名: 「2017年グリーンランド北西部(SIGMA-Aサイト)におけるアイスコアの水安定同位体比」
選考理由: 本論文には,SIGMA-Aサイトにて掘削したアイスコアの年層を決定し,d-excessの年平均値と北極域の海氷密接度の年平均値との関係を調べた取組が記されています.グリーンランド氷床西側の海域におけるポリニアの生成がd-excessの変化に与える影響について興味深い議論が展開されています.また,水蒸気の輸送経路による起源などの推定によって,d-excess変動のメカニズムが今後明らかにされることが期待されます.その内容は,「雪氷学の幅広い発展の知見において今後さらなる研究を奨励」する価値のあるものだと考えます.よって本論文は支部の表彰に相応しいものと認められることから,「北の風花賞」受賞論文として選考しました.
【北の六華賞】
杉山慎 氏(北海道大学低温科学研究所)
論文名: 「南極ラングホブデ氷河における熱水掘削」
選考理由: 本論文は,受賞者らが開発した熱水掘削ドリルにより,典型的な南極氷床の溢流氷河で,接地線から氷河末端に至る全域で棚氷形状と海底地形を明らかにすることに成功した内容が記されています. 昨今の急激な気候変動に伴う極域氷床の底面融解を含む消耗プロセスに,世界が注目している中,棚氷下における観測に挑み,且つ貴重なデータを報告しています.今後も,本研究で得られたデータと氷河上で得られたデータ,人工衛星データとも合わせて,南極における溢流氷河の変動と海洋との相互作用に関して,新しい知見を得ることが期待され,「雪氷学の発展や積雪寒冷地への社会貢献」という点で受賞に値すると考えます.よって本論文は支部の表彰に相応しいものと認められることから,「北の六華賞」受賞論文として選考しました.
【北の蛍雪賞】
秋田谷英次 氏(雪氷ネットワーク)
論文名: 「青少年への雪氷教育,雪崩災害の啓蒙活動,及び長年の積雪研究による北海道支部への貢献」
選考理由: 秋田谷英次氏は北海道大学低温科学研究所を退職後,雪と土に親しむ北の生活館を開設し,こどもの科学教育や雪崩災害の啓蒙活動に尽力されました.また,近年では北海道支部雪氷災害調査チームのホームページに,ほぼ全ての降雪について「さっぽろ積雪情報」を掲載し,積雪断面観測と雪粒子の写真などを報告しています.日々変化する積雪層の構造とその粒子の写真は大変貴重であり,雪氷学の研究にも活用されています.したがって,これらの活動は積雪寒冷地の社会生活や北海道支部の活動に大いに貢献しており,支部の表彰に相応しいものと認められることから,「北の蛍雪賞」に選考しました.
2017年度 北海道雪氷賞
【北の風花賞】
呉廸 氏(北海道大学大学院環境科学院)
論文名:「気象庁の視程観測データを用いた冬季視程の統計解析」
選考理由: 本論文には、気象庁による視程観測データを用いて、北海道全域における冬季の視程低下イベントの統計解析、及び冬季視程障害の原因となる総観気象場の抽出に関する取組が記されています。冬季の北海道において身近でありながら重要な課題に対して、過去の観測データを基に冬季視程障害の特徴を明らかにするための取り組みであり、「雪氷学の幅広い発展の知見において今後さらなる研究を奨励」する価値のあるものだと考えます。よって本論文は支部の表彰に相応しいものと認められることから、「北の風花賞」受賞論文として選考しました。
【北の六華賞】
佐藤賢治 氏(土木研究所 寒地土木研究所)
論文名:「コハク酸二ナトリウムの凍結防止剤としての利用可能性に関する研究」
選考理由: 本論文には、沿道環境への負荷が小さい、塩化ナトリウムに代わる凍結防止剤開発に向けて、金属腐食抑制効果の高いコハク酸二ナトリウム(DS)およびコハク酸二ナトリウム六水和物(DSH)の凍結防止剤としての利用可能性について試験を通じた検討を行った内容が記されています。道路用凍結防止剤としての品質性能や植物の生育に与える影響について実用に結び付く成果が挙がっており、「雪氷学の発展や積雪寒冷地への社会貢献」という点で受賞に値すると考えます。よって本論文は支部の表彰に相応しいものと認められることから、「北の六華賞」受賞論文として選考しました。
【北の蛍雪賞】
東海林明雄 氏(湖沼雪氷研究所)
論文名:「北海道における湖・河川の凍結に関する研究」
選考理由: 東海林氏は長年にわたって雪氷に関わる諸現象、特に湖沼の凍結に関わる研究を続けてこられました。近年も、北海道各地の湖や河川の凍結、氷瀑の形成に関する綿密な観測を継続し、支部研究発表会や「北海道の雪氷」においてその成果を数多く発表されています。これらの研究成果とその活動は、積雪寒冷地の社会生活に多くの知見を与えると共に、雪氷学会北海道支部に著しく貢献するものであります。以上の理由から、東海林会員の活動が「北の蛍雪賞」にふさわしいものと認め、ここに選考しました。
2016年度 北海道雪氷賞
【北の風花賞】
鑓野目純基 氏(北海道文教大学大学院)
論文名:「冬道歩行の健康体力科学的研究」
選考理由: 本論文は、冬道歩行難易度スケールという新しい評価基準を提案し、冬期歩行の課題解決研究を通じた高齢化社会に貢献する内容が記されています。現時点でのサンプル数は少ないものの、実験方法や統計整理の手順が読者にも伝わるよう丁寧にまとめられており、今後の発展が大いに期待されます。よって本論文は支部の表彰に相応しいものと認められることから、「北の風花賞」受賞論文として選考しました。
【北の六華賞】
大廣智則 氏(ネクスコ・エンジニアリング北海道)
論文名:「高速道路における凍結防止剤最適自動散布システムの試行運用状況報告」
選考理由: 本論文は、高速道路における凍結防止剤の散布量を最適化するため、タイヤ加速度波形に基づく路面状態判別法との組み合わせによって散布量計算および実際の散布作業の自動制御を行った事例がまとめられたものです。タイトルに記されておりますように現段階では試行運用の段階とのことですが、従来にない独創性な方法によって課題解決を行い、散布量削減の目的も果たされています。これらの知見は、冬季の雪氷路面管理研究の発展に大きく貢献するものです。よって本論文は支部の表彰に相応しいものと認められることから、「北の六華賞」受賞論文として選考しました。
【北の蛍雪賞】
油川英明 氏(NPO法人 雪氷ネットワーク)
論文名:「雪結晶の顕微鏡写真撮影法ならびに成長論に関する独自の展開」
選考理由: 雪結晶の顕微鏡写真の撮影方法について様々な工夫をされ、それらの啓蒙活動を続けられるとともに、雪結晶に関する独自の成長論を展開し、それらの研究成果を毎年のように支部大会で発表されています。油川会員のこうした一連の活動は支部の表彰に相応しいものと認められることから、「北の蛍雪賞」として選考しました。
須田 力 氏(NPO法人 雪氷ネットワーク)
論文名:「豪雪地住民の身体活動の実態解明に関する調査研究と啓発活動」
選考理由: 豪雪地に暮らす高齢者や身体障がい者の身体活動に関する聞き取りデータを積み重ねてその実態を分析し、支部大会で成果の発表を続けられてきました。また、こうした住民たちのあるべき姿を社会に発信されています。須田会員のこうした一連の活動は支部の表彰に相応しいものと認められることから、「北の蛍雪賞」として選考しました。
※表彰式は、2017年5月の北海道支部研究発表会で実施予定です。
2015年度 北海道雪氷賞
【北の風花賞】
森下裕士氏(北見工業大学大学院)
論文名:「北極海航路の氷況と可航性に関する研究」
選考理由: 本論文は、近年注目を集める北極海航路に関して、衛星データと船上で得られた実測データとの組み合わせに基づき同航路の氷況および可航性が記されています。これらの知見は今後データの積み重ねにより北海道の輸出物流コストの低減等に結びつくことが大いに期待されます。よって本論文は支部の表彰に相応しいものと認められることから、「北の風花賞」受賞論文として選考しました。
【北の六華賞】
八久保晶弘氏(北見工業大学)
論文名:「野外におけるガス吸着式積雪SSA 測定装置の運用」
選考理由: 本論文は、従来の積雪粒径に代わるパラメータとして近年注目を集めている積雪の比表面積(SSA)について、受賞者の八久保氏が2011年から開発している自作のガス吸着式積雪SSA測定装置を野外観測に応用し、計100回以上の試料測定を行なった結果及び考察がまとめられたものです。これらの知見は、積雪の物性研究の発展に大きく貢献するものです。よって本論文は支部の表彰に相応しいものと 認められることから、「北の六華賞」受賞論文として選考しました。
【北の蛍雪賞】
斎藤新一郎氏(北海道開発技術センター)
「大雪や寒さと樹木被害の関係についての一連の研究」
選考理由: 長きにわたり雪や寒さに対する樹木の応答について研究され、樹木の生理活動にもとづく防寒防雪対策の提案や啓蒙を継続されてきました。また、今なお支部大会で研究発表を続けられるなど支部活動への貢献も少なくありません。よって斎藤会員の一連の活動は支部の表彰に相応しいものと認められることから、「北の蛍雪賞」として選考しました。
2014年度 北海道雪氷賞
【北の風花賞】
斉藤潤氏(北海道大学低温科学研究所)
論文名:「グリーンランド北西部における氷帽の表面高度変化」
佐藤雄輝氏(北海道科学大学大学院工学研究科建築工学専攻)
論文名:「構造部材の着雪性状に関する実験的研究ー雪粒子の衝突率・着雪率についてー」
【北の六華賞】
松岡直基氏(日本気象協会)
論文名:「北海道における2013年と2014年の吹雪災害の比較」
【北の蛍雪賞】
※該当者なし
2013年度 北海道雪氷賞
【北の風花賞】
山橋いよ氏(北海道大学大学院)
論文名:「シベリア南限の永久凍土分布の環境要因 -確率の概念を用いた凍土分布図の作成に向けて-」
【北の六華賞】
根本昌宏氏(日本赤十字北海道看護大学)
論文名:「寒冷地の冬期被災を想定した実証的災害対策への取り組み」
【北の蛍雪賞】
※該当者なし
2012年度 北海道雪氷賞(北の風花賞)
中村一樹氏(北海道大学大学院環境科学院)
論文名:「氷のラボでの多様な雪氷体験―産官学連携で行った雪と氷の価値化―」
伊東敏幸氏(北海道工業大学)
論文名:「2011 年度冬期における岩見沢および三笠の屋根上積雪状態」
尾関俊浩氏(北海道教育大学札幌校)
「2011-2012 年冬期に北海道岩見沢市を中心として発生した大雪」調査チームによる活動
2011年度 北海道雪氷賞(北の風花賞)
小西信義氏(北海道大学大学院文学研究科)
論文名:「豪雪過疎地域の除排雪における自助共助に関する人類学的研究」
千葉隆弘氏(北海道工業大学)
論文名:「構造部材における着雪性状に関する研究」
2010年度 北海道雪氷賞(北の風花賞)
金村直俊氏(札幌総合情報センター)
論文名:「2010年1月17日に北海道石狩中部で局地的に発生した大雪(その2)-豪雪時の降雪の特徴-」
ヌアスムグリ・アリマス氏(北見工業大学)
論文名:「アラスカにおける凍結路面の工学的特性」