2023年度 地域講演会
紋別市:極地観測いまむかし
2023年度地域講演会の開催報告
1.開催概要
日本雪氷学会北海道支部では,雪氷に関する啓蒙普及活動を目的として地域講演会を札幌以外の北海道各地において毎年開催している.2023年度の地域講演会はオホーツク海沿岸に位置する紋別市において開催された.
紋別市職員の岩本勉之氏が第63次南極地域観測隊の越冬隊員として2021年12月から2023年2月まで昭和基地に滞在し,2023年3月に帰国したこともあり,越冬隊での調査,生活,過去の極地研究をテーマに講演が行われた.
開催概要は以下のとおりである.
・講演会の概要
講演会名:「極地観測いまむかし」
講演1:極地観測の歴史:北極から南極まで
-プロフェッショナルが語る極地観測物語-
渡辺興亜(元国立極地研究所・所長)
講演2:南極生活よもやま話
-こんなに素晴らしい南極くらし!-
岩本勉之(第63次南極地域観測隊・紋別市)
日時:2023年9月23日(土)14:00~15:30
会場:北海道立オホーツク流氷科学センター ドームシアター
主催:日本雪氷学会北海道支部
共催:北海道立オホーツク流氷科学センター
後援:紋別市,紋別市教育委員会,陸別町しばれ技術開発研究所,
北海道新聞社紋別支局,北海民友新聞社
参加者:37名
2. 講演の模様
講演会には市内,網走管内を中心に道内外から37名に参加があった.まず主催を代表して当日欠席の流氷科学センター高橋修平所長の挨拶が代読された.そのなかで来場された数名の雪氷関係者の紹介も行われた.講演は南極観測経験者である渡辺興亜氏,岩本勉之氏の2名により行われた.
講演1では元国立極地研究所・所長の渡辺氏が極地観測の歴史:北極から南極までと題し,過去から続く極地探検・研究の概論が年表や地図で説明された.特に北極について海氷域の解説,過去は未開の地であったこと,資源獲得競争で観測・研究が進んだ背景などが述べられた.
講演2では紋別市職員で第63次南極地域観測隊の越冬隊員として今年帰国したばかりの岩本氏が南極生活よもやま話と題して南極での観測,生活を中心に説明された.講演ではコロナ禍での例年と異なる寂しい出航から,南極到着,基地での生活,帰国まで写真を中心に,厚い海氷を割りながら進む砕氷船しらせや,オーロラの様子,普段の食事や氷山流しそうめんなどのイベントなどが紹介された.質疑応答では将来南極に行きたいという中学生から南極に行くにはとの質問があり,研究者になることなどの例が示された.
最後に,開催に当たりご協力頂きました皆様に感謝を申し上げます.
図1 地域講演会の様子
図2 渡辺氏による講演
図3 岩本氏による講演
(北海道立オホーツク流氷科学センター 桑原尚司)