2008年度 地域講演会
釧路市:雪と氷の遊学会 ~雪と氷のふしぎ発見~
2008年度 地域講演会 開催報告
(社)日本雪氷学会北海道支部2008年度 地域講演会
テーマ:「雪と氷の遊学会 ~雪と氷のふしぎ発見~」(ポスターはこちら)
日 時:平成20年12月6日(土) 13:15~16:00
会 場:釧路市こども遊学館 (釧路市幸町10丁目2番地)http://www.kodomoyugakukan.jp/
主 催:(社)日本雪氷学会北海道支部
共 催:釧路市こども遊学館、(社)土木学会北海道支部
後 援:釧路市、釧路市教育委員会、NHK釧路放送局、北海道新聞釧路支社、釧路新聞社、日本気象協会北海道支社
内 容 |
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13:15~13:20 |
開会挨拶 |
13:20~14:50 |
サイエンストーク【雪と氷の不思議を知ろう】 |
14:50~15:00 |
休憩 |
15:00~16:00 |
テーブルサイエンス【雪と氷の不思議を体験しよう】 |
北海道新聞(釧路版)2008年12月7日(日)道東28面
講演会の概要:
この講演会は,専門家の手ほどきによって参加者を雪と氷の世界へと導いていただき,身近な存在である雪と氷の美しさと不思議,そして学ぶことの楽しさを感じてもらうことを目的として企画した.特に今回は小学生を含めた一般市民を対象としたので,4名の講師の方々には子ども達にも分かりやすい対話型授業(第1部サイエンストーク)と体験型実験(第2部テーブルサイエンス)をお願いした.
第1部サイエンストークでは3つの話題提供を行い,子ども達が前に出て簡単な実験や流氷などの実物に触れるなどの体験をしながら講演が進められた.講師の「子ども達は前に来て」の呼びかけに歓声があがっていた.
前野氏は3つの氷の不思議として,①「氷は焼き物?」,②「どんな氷でも水に浮く?」,③「マイナス5℃でも水?」について解説した.①では私たちが寒いといっている冬の気候環境は,氷にとっては大変暑いことを説明し,②では構造の違う14種類の氷のうち水に浮くのは1種類だけと解説した.また,③では水の過冷却や凍結の特性を活用した氷のデザート作りを紹介した.
中村氏は,釧路の代表的な気象である霧が近年減少傾向にあることと,昨シーズン久しぶりに釧路にやってきた流氷が,明治時代には流氷の上を歩けるほど接岸したことを説明した.話しの途中に霧の発生実験や本物の流氷に触れるなどの体験を盛り込み,最後は「将来の釧路の気候はどうなっていくのだろう? 参加者それぞれが考えてみよう」という問いかけで締めくくった.
矢作氏は「土と氷の世界」と題して,水と電気および氷と電気について,物体の持つ電気のプラス/マイナスが分かる自作装置を使いながら話しを進めた.参加者は,同じ物質でも擦りつけて静電気を起こす相手によってプラスとマイナスが入れ代る不思議を実感した.また凍上やアイスレンズについて解説し,第2部の実験へと参加者を誘った.
第2部テーブルサイエンスでは,上記3名の講師に中山氏に加わっていただき,以下に示す内容で参加者に「雪と氷の不思議」を体験していただいた.
・氷釣り(前野)第2部は,会場にたくさんの子ども達が詰めかけ,開始とともに各実験ブースはすぐにいっぱいになった.土曜日にも関わらず先生に引率される子ども達の姿もあった.押し寄せる人波の勢いに事務局スタッフも自然に講師となり,入れ替わり説明の輪に加わった.また平松和彦氏(旭川東高校)が飛び入りで復氷実験をセットし,講演会の成功に強力なサポートをしていただいた.
・南極の氷から太古の空気の音を聞こう(中村)
・ナットで作る雪結晶(中村)
・氷のステンドグラス(矢作)
・過冷却実験「水が凍る瞬間を見よう!」(中山)
・チンダル像「アイスフラワーを見よう!」(中山)
写真3 実験の状況
氷釣りや氷のステンドグラス作成では,最初は上手くいかない子ども達が多かったが,講師に再度説明を求めたり,自分で工夫する姿勢が見られた.失敗の後の成功の喜びは,1度で成功した子ども達よりも大きい様子だった.そうした子どもたちの様子を,吹き抜けの会場周囲を取り巻く螺旋状スロープから保護者の方々が暖かく見守っていた.また北翔大学のグループが独自の解説ポスターを作成して行った過冷却実験では,一瞬で水が凍る様子に参加者は目を丸くしていた.
最後に,会場設営をしていただいた釧路市こども遊学館のスタッフをはじめ,開催にあたりご協力いただいた皆様,および実験資材の手配に尽力していただいた方々にお礼申し上げます.皆様のご協力により,多くの参加者に「雪と氷の不思議」について遊んで学んでいただけたとものと感謝いたします.
(北海道支部幹事 松下拓樹 記)