2009年度 春の講演会(支部設立50周年記念講演会)
「宇宙で作る氷の結晶 -ISS「きぼう」での無重力実験-」・「剥き出しの地球 -南極大陸-」
2009年度 春の講演会(支部設立50周年記念講演会)
日 時: 2009年5月12日(火) 16:00〜18:00
会 場: 北海道大学学術交流会館小講堂 (札幌市北区北10条西6丁目)
参加費: 無料
講 演:
「宇宙で作る氷の結晶 -ISS「きぼう」での無重力実験-」
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北海道大学低温科学研究所 教授 | 古川 義純 | ポスター |
「剥き出しの地球 -南極大陸-」
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第49次・50次南極地域観測隊員/写真家 | 阿部 幹雄 |
講演要旨:
「宇宙で作る氷の結晶 -ISS「きぼう」での無重力実験-」
国際宇宙ステーションの日本実験モジュール「きぼう」がいよいよ稼動を始めた。この「きぼう」を利用した本格的な無重力実験のひとつとして、氷の結晶成長実験が昨年12月から3ヶ月にわたり実施された。宇宙での氷結晶パターンの時間発展の映像から、結晶の複雑な形ができるしくみが解明されつつある。
「きぼう」実験の実現に至るまでの経緯とその意義を多くの映像を使って紹介する。
宇宙実験の実際とそれにかける夢、その魅力の一端に触れていただきたい。
「剥き出しの地球 -南極大陸-」
5~6億年前、二つの大陸が衝突して地球の始原となるゴンドワナ超大陸が誕生した。日本の南極観測隊は、ゴンドワナ超大陸の誕生と分裂の謎を解くため、2007年から3カ年計画でセール・ロンダーネ山地に地質調査隊を送り込んでいる。私は、食料、装備、安全を担当するフィールドマネージャーとして調査隊に参加した。
セール・ロンダーネ山地は、標高1000㍍〜3000㍍の山々が氷河のなかに聳える四国ほどの広さの山岳地帯だ。調査期間は白夜が続く南極の夏。夏ともいえども気温は氷点下20℃を超え、ときに風速30㍍を超えるブリザードが吹き荒れる。調査隊は約3ヶ月間テントで暮らし、ソリに調査と生活に必要な物資を積んでスノーモービルの旅を続ける。一夏の走行距離は約1500㎞になる。
大陸衝突の境界、南極大陸セール・ロンダーネ山地。そこは、宇宙に惑星として誕生した地球46億年の歴史を自分の目で見ることができる世界だ。氷と岩だけの南極大陸、それは惑星としての地球そのものの姿であり、剥き出しの地球の姿があった
関連情報
写真集(Picassaに掲載)