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2018年度第2回 地域講演会

— カテゴリ:

秩父別町:雪と氷のサイエンス

2018年度第2回地域講演会の開催報告

1.開催概要

日本雪氷学会北海道支部では,雪氷に関する啓蒙普及活動を目的として地域講演会を札幌以外の北海道各地において毎年開催している.9月に旭川で開催された第1回に引き続き,2018年度第2回の地域講演会を北海道秩父別町にて開催した.
秩父別町は空知北部の深川市の隣に位置する人口2,427人(2019年2月28日現在)の町である.日本の米作り百選の地として知られ,また北海道最大級のネット遊具を備えた人気施設「キッズスクエアちっくる」がある町としても近年注目を集めている.同町は北海道有数の豪雪地帯の位置することから,積雪に関心のある町民が多い.またこれまで空知管内で地域講演会を実施した実績がなかった点も踏まえ,今回,同町での開催に至った.開催概要は以下のとおりである.

 

・講演会の概要
  講演会名:「雪と氷のサイエンス」
  (1)雪氷おもしろ実験とビーズアクセサリー作り
  (2)秩父別町で毎年2月下旬に実施している積雪調査の報告

  日時:2019年3月23日(土)13:00~15:30
  会場:秩父別町ファミリースポーツセンター2F研修室1・2
  講師:白川龍生(北見工業大学 准教授)
  主催:公益社団法人日本雪氷学会北海道支部
  後援:国立大学法人北見工業大学
  協力:秩父別町教育委員会
  参加者:13名(小学生5名,高校生1名,一般7名)

 

2. 当日の様子

前半は主に小学生を対象とした雪氷おもしろ実験とビーズアクセサリー作りを実施した.ここでは3種類の実験(ペットボトルの雲実験,ドライアイスの作成と実験,人工雪結晶生成実験)と体験学習(アイロンビーズによる雪結晶アクセサリー作り)を実施した.
ペットボトルの雲実験では,雲ができる条件を参加者に考えてもらいながら進めた。参加者の目の前で液化炭酸ガスからドライアイスを作る実験では、約1分でドライアイスが出来上がる様子には参加者から歓声が上がった(図1)。また,そのドライアイスを使い霧状の水滴を発生させる実験やドライアイスを滑らせる実験を行った.人工雪生成実験では,ペットボトルの中に大きな雪結晶が出来上がり,参加者は熱心に観察していた(図2).雪結晶のアクセサリー作りでは,実際に北海道で観察された雪結晶の写真を参考に参加者自身がビーズを並べ,個性的なアクセサリーが完成した.特に,その作品がどのタイプの雪結晶を表現したものかを知ることが重要と考え,参加者には図鑑や書籍で自ら調べてもらった.樹枝六花や角板をイメージしたものが多かったが,中には三花などレアな形をデザインする参加者もいた.この体験学習は各地で実施されているが,年齢を問わず非常に人気となっている.今回も熱心に取り組む参加者が多く,1人で5個作成した小学生もいた.

 

ドライアイスの作成

図1 ドライアイスの作成

 

人工雪生成実験の様子

図2 人工雪生成実験の様子

 

引き続き後半の講演会を実施した.ここでは講師を務めた筆者(白川)が2014年より毎年続けている広域積雪調査を紹介し,特に観測地の一つである秩父別町でのエピソードを話した.この地が北海道有数の豪雪地帯に位置し,積雪深・積雪水量とも高い値を示していることについては,現地で撮影した写真と断面図で説明した(図3).また融雪出水直前期の積雪水量を説明するモデル実験を行い,参加者に雪の重さを体感してもらった.

 

講演会の様子

図3 講演会の様子

 

講演後の質疑応答では,高校生の参加者から「秩父別で大雪になるメカニズムは想像できるが,北見など道東で時々大雪になるのはなぜか?」といった質問があり,2004年北見大雪の天気図を使って気圧配置等の解説をした.参加人数は想定より少なかったが,雪や気象に関心のある若い高校生が参加者に含まれていたことは幸いであった.

3.おわりに

この地は雪との関わりが深い土地柄ということもあり,当日の参加者からは概ね好評を得た.理科が好きだという町内在住の小学3年生からは,帰り際に「また秩父別に来て欲しい」という声が寄せられた.地域講演会への潜在需要は少なくないと感じた.今回の反省点としては,当日,秩父別町を含む空知北部が吹雪で,これに伴う交通機関の乱れ等が生じ,参加者数は想定した30名の半数程度に留まったことである.実施時期(3月下旬)や周知方法については熟考すべきであった.この点は次回の担当者に引き継ぎたい.

 

謝辞

開催にあたり,秩父別町教育委員会の大山様はじめ関係者の皆様には,会場の手配から運営に至るまで全面的なご協力を賜りました.また北海道支部庶務理事の小倉美紀さんには当日の進行を助けて頂きました.ここに記し,感謝申し上げます.

 

(北見工業大学 白川龍生)

 

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