Japanese Society of Snow and Ice

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公益社団法人日本雪氷学会 北海道支部
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2007年度支部研究発表会

— カテゴリ:

2007年6月21日(木)

2007年度 雪氷学会北海道支部 研究発表会

開催日:2007年6月21日(木)

開催場所:北海道大学 学術交流会館 第一会議室


  • 印刷用プログラム(こちら)(平成19年6月11日更新)
  • 印刷用要旨付きプログラム(こちら)(平成19年6月11日更新)
  • 発表内容は機関誌「北海道の雪氷26号」で出版されています(PDFダウンロード可)(平成19年9月22日更新)

 

10:00-10:05

支部長あいさつ

石井吉之 幹事長(支部長代理)

Session I (道路雪氷)10:05-10:50

座長:伊東靖彦

 

10:05-10:20

連続路面すべり抵抗値測定装置(RT3)の導入について

舟橋誠(土木研究所寒地土木研究所)

北海道の冬期路面状態は、気象や交通状況などにより変化が激しく、的確な路面状態の把握が難しいものとなっているが、効果的かつ効率的な冬期道路管理を行うには、的確に冬期路面状態を把握する必要がある。寒地土木研究所では、冬期路面状態を定量的かつ連続的に把握するため、「連続路面すべり抵抗値測定装置(RT3)」を導入した。本報告では、この「連続路面すべり抵抗値測定装置(RT3)」を紹介すると共に、既存のバス型の測定装置である「すべり試験車」との比較試験を行った結果について報告する。

 

10:20-10:35

平成18年度冬期における札幌市中心部の歩道の路面状況について

川村文芳、金田安弘(北海道開発技術センター)

平成18年12月から平成19年3月において、札幌市中心部の歩道に観測コースを設定し、毎朝の通勤時間帯(午前9時台)に路面状態を観察した。1冬期の路面状態の出現状況は、圧雪・氷板で全体の約7割を占め、こな雪・つぶ雪が1割強となった。滑りやすい路面の出現は12月に多く、12月14日、15日は広範囲で非常に滑りやすい状態となった。この両日は、前日の最高気温が+3℃を超え、当日の最低気温が-2℃程度であったことから、日中解けた雪面が早朝までに再凍結する条件にあった。一方、1月~3月は出現が少なかった。

 

10:35-10:50

人の行動から見た雪道スリップ転倒の発生構造

新谷陽子 (北海道開発技術センター)

本報告では、横断歩道で実際に発生した雪道スリップ転倒事例から、スリップ転倒の発生しやすい歩行環境や転倒に至る歩行者の特徴を調べ、雪道スリップ転倒の危険因子がどのように関与しあって転倒が発生するのかを考察する。調査の結果、滑りやすい雪氷路面の物理的な性質だけでなく、歩行環境に対する人の判断のあり方も転倒を引き起こす要因であることが確認された。

 

Session II (森林雪氷)11:00-12:00

座長:金田安弘

 

11:00-11:15

国道243号美幌峠の防雪林における雪害後および今後の保育手法について

斎藤新一郎(環境林づくり研究所)、古田隆史(北海道開発局網走開発建設部北見道路事務所)

美幌峠の道路防雪林は、道内で最大規模のものであり、厳しい気象・土壌の環境下において、順調に成長してきた。けれども、2003/2004年の大雪により、大きな雪害(幹折れ、枝抜け)が生じた。そして、幹折れ木については、丸太を立てて、頂芽優勢を活かした、大枝の鉛直立ちを試みた。その成果および向後の保育管理手法について報告する。

 

11:15-11:30

風洞実験による防雪林の樹木形態と防雪効果の関係について その2

山田毅、伊東靖彦、加治屋安彦(土木研究所寒地土木研究所)、小杉健二、根本征樹(防災科学技術研究所)、齋藤佳彦(雪研スノーイーターズ)

防雪林の防雪効果と林帯の生育度合いもしくは位置関係との相関を調べるため、北海道内の道路防雪林をモデルに樹木構成と樹木密度を変えた防雪林の縮小模型を用いて、風速低下、吹雪量減少と位置の変化を実験した。模型は実測との相関を考慮して、実測値の防雪林を模擬化したものと、その針葉樹部分を7段階に間伐したものを使用した。実験の結果、防雪機能を維持できる限界と考えられる間伐度を示すことができた。

 

11:30-11:45

気温測定からみたイチイに対する菰巻きの効果について

阿部正明(北海道開発技術センター)、小松佳幸(日本工営)、斎藤新一郎(北海道開発技術センター)

北海道では、庭木や道路緑化樹等の常緑針葉樹に対して、菰巻きによる冬囲いの実施例が見られる。斎藤等は、早春および晩秋における常緑針葉樹に対する菰巻きのデメリットを指摘している。本論では、菰巻き実施事例の多いイチイを対象木として、菰巻き内外における温度の連続測定を行い、イチイの性質を踏まえた上での保温効果について明らかにするものである。

 

11:45-12:00

除雪害を受けたイチイの幹折れおよび枝抜けについての解剖的な観察

斎藤新一郎(環境林づくり研究所)

イチイは、オンコの愛称をもち、多くの庭に、公園に、神社に植えられ、北海道の最重要な緑化樹である。遅い成長、広い根張り、堅い材などから、雪上木になると、雪害を受けやすくなる。庭木であれば、丸太囲い、雪吊り、ほかの雪害対策があるが、並木、街路樹、などでは、除雪害を受けやすい。被害木の年輪解析から、除雪害対策にも言及する。

 

Sesion III (建築物への積雪・着雪・着氷)13:20-14:50

座長:川端伸一郎

 

13:20-13:35

振動による屋根雪の滑動と構造体との動的相互作用に関する基礎的研究その1

―振動による屋根雪の破断モードと構造体の応答性状との関係―

千葉隆弘、宗像真木彦、苫米地司(北海道工業大学)、植松武是(北海道立北方建築総合研究所)、 高橋徹(千葉大学大学院工学研究科)

本研究は,振動による屋根雪の動的挙動と構造体の地震応答との関係を基礎的な振動実験で検討したものである。北海道等に多くある無落雪屋根を対象とし,実験には屋根の大きさ900mm×900mmの平屋建を想定した試験体を用いた。屋根雪は自然雪とし,深さを5cm,10cm,15cmとした。屋根雪を載せた状態で試験体を加振し,測定した加速度により振動による屋根雪の破断モードと応答性状との関係を検討した。その結果,屋根雪の凍着状態により破断モードに差異が生じ,破断後の応答加速度は破断モードに応じて破断前より減少することがわかった。

 

13:35-13:50

振動による屋根雪の滑動と構造体との動的相互作用に関する基礎的研究その2

―屋根雪滑動時における構造体の応答性状―

宗像真木彦、千葉隆弘、苫米地司(北海道工業大学)、植松武是(北海道立北方建築総合研究所)、 高橋徹(千葉大学大学院工学研究科)

前報に引き続き,本報その2では屋根雪が規則的に滑動したときの構造体の応答性状を実験的に検討した。実験に用いた試験体および屋根雪は前報その1に示す通りで,屋根葺材においては表面粗さの異なる2種類の塗装鋼板を用いた。加振時に測定した加速度により屋根葺材の表面粗さと応答性状との関係を検討した。その結果,表面粗さが小さい塗装鋼板では規則的に屋根雪が滑動し,応答加速度は滑動前に比べて減少した。これに対し,表面粗さが大きい塗装鋼板では屋根雪の滑動が不規則となり,応答加速度は滑動前に比べて増加する傾向を示した。

 

13:50-14:05

紐状冠雪の成長抑止実験

竹内政夫(雪氷ネットワーク)

橋梁等の上弦材や構造物の部材に積もった雪は、部材の面積を雪庇状にはみ出した冠雪となる。特に長く幅の狭い部材では高く積もると、左右のバランスを失い、部材からはみ出し紐状にぶら下がることがある。その上にさらに雪が積もるので、益々重く大きくなり落下時の衝撃は危険なものになる。橋梁には様々な形・大きさの部材があり、それぞれ落氷雪事故の危険がある。紐状冠雪になりやすい幅の狭い部材からの落氷雪事故防止のための野外実験を行ったのでその結果を報告する。

 

14:05-14:20

人工降雪装置を用いた建物屋根上の雪庇の形成実験

堤拓哉(北海道立北方建築総合研究所)、根本征樹、佐藤威(独立行政法人防災科学技術研究所)

多雪地域では、季節風など一定方向の風を伴う降雪などにより、屋根の風下側に雪庇が形成される建物が多く見られる。雪庇は軒先での局所荷重の増加、崩落による人身事故や建物の破損などに繋がることから対策の検討が必要とされている。室内実験は、一定条件下で効率的に系統だてた検討が行えることから、雪庇をはじめとする雪の問題を検討する上で有用な手法である。本報では、人工降雪装置を用いた建物屋根上の雪庇の形成実験について、実建物を対象とした屋外観測の結果を交えて報告する。

 

14:20-14:35

現地観測による道路案内標識の冠雪および落雪過程の把握

松下拓樹、伊東靖彦、加治屋安彦(土木研究所寒地土木研究所)

道路案内標識の冠雪および落雪の一連の過程を把握することを目的に、札幌市南西の中山峠(標高835m)にて、2006年12月から2007年4月まで冠雪のカメラ観察、標識の表面温度測定、気象観測を実施した。観測の結果、冠雪の発達には風速と降雪量が関係し、最大風速5m/sを超えると20cm以上のまとまった降雪がないと顕著に発達しない。一方、冠雪の落下は融雪に伴って起きる。気温-5℃以上になると日射の影響により標識の表面温度は0℃以上となり数時間の内に落雪した。

 

14:35-14:50

鉄道トンネル内に発生するつららの観測(第1報)

小川直仁(JR北海道)、岩花剛、赤川敏(北海道大学大学院工学研究科)

小樽及び旭川等の鉄道トンネルでは、人力によるつらら除去作業を12月から3月末までその発生有無に関わらず毎日実施している。鉄道トンネル内のつららに関する既往研究を整理したところ、つらら発生条件は「漏水が発生するトンネル内において坑内気温が0℃以下になる場合」と定義し、実際につららを観測し、つらら発生時の微気象条件を明かとした研究は少ない。そこで、本報告では休止中の鉄道トンネルにおいてトンネル内に発生するつららの観測(インターバル撮影、気温計測等)を平成18年度に実施したので、その結果を報告する。

 

Session IV (雪氷寒冷圏の環境科学)15:00-16:30

座長:豊田威信

 

15:00-15:15

小型マイクロ波放射計の積雪観測と雪氷防災への利用の可能性

榎本浩之、○小嶋真輔、舘山一孝、戸城亮、木村しずか、神尾友行、内田圭一、高橋修平(北見工業大学)

田中聖隆、谷田広紀、山本朗人(三菱電機特機システム株式会社)

地表面の物質から放射されるマイクロ波を計測することにより地表面の水分の変化や積雪深、結氷分布を知ることが可能である。本研究では三菱特機システムで開発された携帯可能な小型マイクロ波放射計(MMRS2)を利用して、冬期の地表面の観測を行い、積雪観測と雪氷防災への利用の可能性を検討した。小型マイクロ波放射計は、重量7.5kg、サイズ400x360x160mmと軽量・小型である上,制御および測定値は無線LANを介してパソコンで行なえるなど機動性に優れている。対象物を遠方から非破壊で広域に観測でき,天候や昼夜を問わない事も特筆すべき点である.本研究では, 4種類の異なった周波数帯のマイクロ波放射計により積雪の輝度温度を測定し,積雪深や雪温の実測値との比較、積雪のマイクロ波透過性などを調査し、雪氷防災への有効性を検討した.

 

15:15-15:30

オホーツク海北海道沿岸における3ch版可搬型マイクロ波放射計MMRSを用いた船上海氷観測

内田圭一、榎本浩之、舘山一孝(北見工業大学)、豊田威信(北海道大学低温科学研究所)、 瀧本忠教(海上技術安全研究所)、戸城亮(北見工業大学)

2007年2月中旬にオホーツク海北海道沿岸において、海上保安庁のアイスパトロールの一環として砕氷船「そうや」による海氷観測が行われた。可搬型マイクロ波放射計(MMRS:Microwave/Milliwave Radiometer System)による観測は昨年度に引き続いての観測である。今回MMRSで使用した周波数は海氷分布観測に使用されている18GHz、23GHz、36GHzの3chで(昨年度は36GHzのみ)、海氷および海水表面から放射されるマイクロ波を連続観測した。観測結果より3chの中で18GHzが氷厚と一番高い相関を示した。また36GHz,18Ghzの輝度温度の差を利用した計算(GR)からも氷厚と高い相関を示した。

 

15:30-15:45

船舶搭載型マイクロ波放射計を用いた南極昭和基地沖の流氷・定着氷の氷厚観測

舘山一孝、榎本浩之(北見工業大学)、下田春人、宇都正太郎(海上技術安全研究所)、牛尾収輝(国立極地研究所)

本研究は,衛星搭載マイクロ波放射計による海氷厚推定アルゴリズムの開発を目的とし, 第48次南極地域観測隊夏期観測において実施した地上検証実験の結果について報告する. 2006年12月から2007年2月にかけて南極昭和基地沖の流氷・定着氷域内において,砕氷船しらせ艦上に搭載した電磁誘導式氷厚計と小型マイクロ波放射計を用いて海氷厚と輝度温度の関係を調査した.今回用いた36GHzのマイクロ波放射計は0.1mから1.2mの比較的薄い氷の厚さ測定に適しているが,それ以上の厚い氷には感度が鈍い,融解期は表面融解水の影響を受けて薄く見積もる傾向がある,などの知見が得られた.

 

15:45-16:00

アラスカにおける積雪縦断観測および衛星データを用いた積雪比較

木村しずか、榎本浩之(北見工大)、金龍元(アラスカ大学)、谷川朋範(北見工大)、 門崎学(JAXA)、斉藤佳彦(スノーイーターズ)、戸城亮(北見工大)

年気温の上昇が顕著である北極圏において、積雪に関する情報は水利用や災害、気候変動などの研究に役立てることができる重要な情報である。そこで本研究では、アラスカのフェアバンクスから北極海沿岸までのパイプライン沿いに観測サイトを設置し、積雪深、雪質、雪温、密度について観測を行った。アラスカはブルックス山脈を境に北側をツンドラ帯、南側を北方森林帯に分類することができ、それらを跨いで観測することにより、植生による積雪の変化にも着目することができる。また、過去二年分の観測データと比較することにより、それぞれの年との違いなどについて検証を行う。

 

16:00-16:15

北海道・然別の風穴地に分布する越年地下氷の形成年代と起源の推定

澤田結基(北海道大学低温科学研究所)

風穴と局地的永久凍土が分布する然別・西ヌプカウシヌプリの岩塊斜面末端部において地下1~4mの越年地下氷をサンプリングし,その構造の記載,氷の酸素・水素同位対比の測定,および有機物の年代測定を行った.その結果,地下氷のD-excess値は冬の積雪と春~夏の降水の中間的な値となり,地下氷の起源水が冬の積雪と春~夏の降水の混合水である可能性が示された。また氷に含まれる葉片のAMS14C年代が3540±40 yBPを示すことから、調査地の局地的永久凍土は少なくとも完新世後期には成立していたと考えられる。

 

16:15-16:30

南北両極の氷床コアに含まれる塩微粒子の分布と化学組成

―Termination Iにおける大気エアロゾルの変動との関係―

櫻井俊光(北海道大学大学院環境科学院)、飯塚芳徳、堀川信一郎(北海道大学低温科学研究所)、 Sigfus Johnson、Dorthe Dahl-Jensen、Jørgen Peder Steffensen(コペンハーゲン大学) 本堂武夫(北海道大学低温科学研究所)

氷床コア解析において、堆積後に変質しない不溶性エアロゾルとは異なり、水溶性エアロゾルは、可溶なので相状態を変えている可能性があったため、存在が不明瞭だった。近年、南極DFコアから、水溶性の多くが氷中で硫酸塩などの固体の塩微粒子として存在していることがわかった。本研究は、南極DFコアと北極GRIPコアを用いて、特に硫酸塩の化学組成がDFコアの各気候区分で異なる原因と、南北の違いを究明することを目的とした。その結果、GRIPコアにもCaSO4を主成分に塩微粒子が含まれ、両極共に化学組成が異なる原因は、Ca2+濃度に依存していることがわかった。

 

Sesion V (教育・生活・情報・雪崩)16:40-18:10

座長:小川直仁

 

16:40-16:55

子供達の雪氷防災意識向上を継続的に支える試み

中村一樹、石本敬志、久保田敬二、三好真紀(日本気象協会北海道支社)、 的場澄人(北海道大学低温科学研究所)、樋口和生(北海道山岳活動サポート)

自然に対する適応能力や防災情報への理解は、実際の体験から身についていくものであるが、近年、特に冬に外で遊ぶ子どもたちの割合が減ってきていると言われている。そこで、この研究は、次世代を担う子供達を対象に、雪氷をテーマにした冬期の野外でのイベント、屋内でのイベントをそれぞれ開催し、雪や寒さに関わる基礎を、楽しく学びながら、雪氷を通して自然への理解を深め、雪氷防災意識向上のきっかけを作ることを試みた。

 

16:55-17:10

豪雪地住民の人力除雪の作業能力と体力要素

須田力(北方圏体育スポーツ研究会)

豪雪地住民の人力除雪の作業能力と体力との関係を明らかにする目的で、(1)大学生と高齢者の体力とのショベル除雪に関する身体資質の特徴、(2)大学生と高齢者のショベル除雪の作業成績と作業時の生理的応答との関係を検討するフィールドテストを実施した。その結果、人力除雪能力のパフォーマンスを高める体力要素として、有酸素能力、脚伸展パワー、筋力が最も重要であることが示唆され、これらの身体資質が男性よりも劣る女性は、作業成績においても大きなハンディを持つことが明らかとなった。

 

17:10-17:25

氷河観測時における気象情報の取得方法

的場澄人(北海道大学低温科学研究所)、中村一樹(日本気象協会北海道支社)、 樋口和生(北海道山岳活動サポート)

氷河観測を行う上で観測地点の気象情報は重要な情報である.しかし,氷河は人間活動域から離れた地域にあるため,現地で得られる気象情報は限られている.また,通信手段も制限されるため,観測中に,その地点の気象情報を得ることは難しい. 本発表では,2006年にカムチャツカで行われた氷河観測で実施した,イリジウム衛星電話のメール機能を利用した日本からの気象情報の取得方法について報告する.受けとった気象情報は,当日,一日後,二日後の観測地点の天候,気温,風速と周辺の高低気圧の位置,移動方向・速度である.

 

17:25-17:40

雪崩予防柵を斜面積雪がすり抜ける現象の発生気象条件について

―大雪湖周辺の事例解析―

松下拓樹、松澤勝、伊東靖彦、加治屋安彦(土木研究所寒地土木研究所)

雪崩予防柵を斜面積雪がすり抜ける現象の発生に関わる気象要因を明らかにするため、北海道大雪湖周辺で通行止めを伴った雪崩8事例(うちすり抜け現象5事例)について、近傍気象観測データを用いた解析を行った。解析の結果、すり抜け現象を伴う雪崩は、発生前の降雪期間において、平均気温が-5℃以下と低くかつ最大風速4m/s未満の比較的風の弱い場合に発生していた。すり抜け現象は、弱風下で降雪粒子があまり破壊されずに積もった低密度の雪が、低温のため圧密の進行が遅く十分な強度増加を得られない場合に起きると考えられる。

 

17:40-17:55

地震発生時の斜面積雪の安全率評価に関する一考察

松澤勝、加治屋安彦、伊東靖彦(土木研究所寒地土木研究所)

大地震が積雪期に発生した場合、斜面積雪の安全率(斜面下向きの力に対する抵抗力)が低下して雪崩の発生が予想される。このため、地震の強さと積雪深や勾配に応じた斜面積雪の安全率の関係を調べることは、地震による被害想定を行う上で重要である。既往研究での地震時の雪崩発生条件式では、滑り面での摩擦を考慮している。これに、地震時の盛土の安全率評価で用いられる粘着力を加味して、地震時の斜面積雪の安全率の評価手法を考案した。この式を用いて、過去に発生した地震時の雪崩を対象に試算を行ったところ矛盾しない値を得た。

 

17:55-18:10

2007年3月18日に積丹岳ピリカ台南斜面で発生した雪崩の調査報告

尾関俊浩(北海道教育大学岩見沢校)、上石勲、山口悟(防災科学技術研究所雪氷防災研究センター)、 兒玉裕二(北海道大学低温科学研究所)、阿部幹雄、樋口和生(雪崩事故防止研究会)

2007年3月18日午後,積丹岳ピリカ台南側斜面で雪崩が発生し,16人が巻き込まれ,4人が死亡した.本発表では3月20日に雪崩発生斜面付近で行なった積雪調査について報告する.雪崩発生斜面はボウル状の地形で勾配は30~40度である.推定される発生区は森林限界より標高が高く,北よりの強風が吹けば吹き溜まると予想された.積雪観測は稜線から南側へ50m程度下った箇所で実施した.積雪表層にはあられの弱層が見られたほか,表面から80cm付近には厚さ1cmのざらめ層と厚さ1cmのこしまり雪主体の層があった.吹き溜まり等の上載荷重の増加が斜面積雪の安定度を下げた要因と考えられる.

 

18:10-18:25

SPP特別授業『積雪の科学』の実施について

平松和彦(北海道旭川西高等学校)

今年1月下旬、高校1年生を対象に、雪崩の専門家を招いて特別授業を実施した。豪雪地帯において積雪災害の発生時に活躍されている専門家から直接、野外で積雪の構造や観察方法を学び、普段から防災意識をたかめておくことは大切である。今回はグラウンドの積雪と、除雪によってできた雪山を利用して、雪の物理的性質や構造を学ぶ絶好の機会となった。積雪時における地震災害の現地調査や研究に携われた成果をわかりやすく解説していただいたことは、将来を担う高校生にとって有意義な経験となった。概要と生徒の反応について報告する。

 

18:25-18:30

連絡事項(「北海道の雪氷」原稿執筆依頼など)

担当幹事

ドキュメントアクション