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現在位置: ホーム 活動報告 地域講演会 2018年度第1回 地域講演会

2018年度第1回 地域講演会

— カテゴリ:

旭川市:高齢者の住まい

2018年度第1回地域講演会の開催報告

1.開催概要

日本雪氷学会北海道支部では,雪氷に関する啓蒙普及活動を目的として地域講演会を札幌以外の北海道各地において毎年開催している.
2018年度の地域講演会は,旭川市において,市民向け研修会の一環として開催された. 旭川市は,市長政策として「冬期間の安心な市民生活と経済活動を支える除排雪体制」を掲げ,道路除排雪体制の整備推進の他,住宅の雪対策に関連する工事に対して助成を行うなど,冬季の市民の生活の質の向上に向け施策を展開している.市民の中でも特に高齢者においては,降雪期の生活に関心が高い実態であることから,「高齢者の住まい」と題した研修会の中で「住宅の雪対策」の講演の可能性を打診された。日本雪氷学会北海道支部では,共催にすることで以下の講演を行っている.

 

・講演会の概要
  講演会名:「高齢者の住まい」
  講演1.高齢者のための住宅改善とリフォームの注意点(旭川市建築部)
  講演2.空家等対策について(旭川市建築部)
  講演3.住宅の雪対策について(日本雪氷学会北海道支部 高倉政寛)

  日時:2018年9月18日(火)10:30~12:30
  会場:フィール旭川
  主催:旭川市建築部
  共催:日本雪氷学会北海道支部
  参加者:46名

 

2. 講演の模様

旭川市による講演は,高齢者の住む住宅でのリフォームの必要性,また高齢者が亡くなった後の空き家がもたらす問題についての内容である.講演は市の相談窓口や助成制度が紹介されるなど高齢者の悩みに寄り添う実益の高いものであった.
日本雪氷学会北海道支部による講演は,旭川市建築部による講演の後に行われた。市に寄せられる住まいと雪に関する相談状況を概観したうえで,相談事例が多い敷地外への雪捨ての実態,屋根雪の落下による事故事例と責任の所在について説明するとともに,雪対策として設置される住宅の付帯設備など(雪止め金具,ロードヒーティング,融雪槽,カバードウォーク,カーポート,ガレージ等)がもたらす,事故防止,生活改善効果について解説した.
受講者は,屋根雪の落下事故によって,住宅所有者や建設事業者が罪に問われる認識が殆どない状態であった.一般に年金生活等で節約意識が高い高齢者は,住宅改善への投資が滞りがちである.冬季の生活改善と併せて事故防止ができる最低限の対策とは?などの質問もあり,住宅の雪対策に関心を持つきっかけができたと考えている.

 

日本雪氷学会北海道支部による講演の様子

図1 日本雪氷学会北海道支部による講演の様子

 

 

3.おわりに

地域講演会は,日本雪氷学会の認知度向上に併せ,受講者の雪氷に関するスキルアップが開催の大きな狙いとなっている.本年度は,自治体からの要望に基づき,雪対策施策の背景・理由を第三者として補足説明するのが主な役割となった.
本講演会を含む一連の交流や活動は,稚内市が「南極観測のふるさと」を目指していることを印象づけるものであり,雪氷学だけではなく,積雪寒冷地域における教育・観光に一助する有用な資源になると捉えている.

 

(北海道立総合研究機構 北方建築総合研究所 高倉政寛)

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