Japanese Society of Snow and Ice

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2009年度支部研究発表会

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2009年度支部研究発表会

2009年度 雪氷学会北海道支部 研究発表会

開催日:2009年6月23日(火)

開催場所:北海道大学 学術交流会館 第1会議室

当日はプログラム等を配布いたしませんので,下記のPDFを各自で印刷してご持参ください.

  • 印刷用要旨付きプログラム(PDF
  • 掲示用ポスターA3(PDF

 

プログラム (発表12分 質疑3分)

 

9:25-9:30

開会あいさつ

支部長 山田知充

 

Session I (吹雪・防雪林)9:30-11:00

座長:大槻政哉(雪研スノーイーターズ)

 

9:30-9:45

2008年2月長沼吹雪災害から学ぶ

丹治和博(日本気象協会北海道支社)・竹内政夫(NPO雪氷ネットワーク)

2008年2月23日~24日に一般国道274号長沼町で多数の車両が吹雪の中立ち往生する吹雪災害が発生した.この吹雪災害の教訓を活かすことを目的とした,災害当事者と一般市民との公開シンポジウムを通じて,道路吹雪災害の実態や課題が明らかとなった.一晩にわたって風速10m/s以上の吹雪が一定方向で継続する中,立ち往生車両による救助活動の障害,立ち往生車両からの救助要請や苦情の実状がわかった.また,シンポジウム参加者へのアンケートから吹雪災害に備えた準備をする人が少ない,というドライバー側の課題もみられた.

 

9:45-10:00

吹き止め柵に発生する吹きだまりの風洞実験による再現性について

山崎貴志・牧野正敏・高松茂(寒地土木研究所)

防雪柵などの防雪対策施設の性能評価を行うには実フィールドでの評価が理想だが,計測期間が長期に及ぶことや実験条件の統一などの問題から実フィールドだけでの評価は困難である.本検討では,風洞実験による防雪対策施設の性能評価に資するため,防雪対策施設(吹き止め柵)周辺に発生した吹きだまり形状について,実フィールドでの計測と活性白土を用いた風洞実験結果とを比較することにより,現地再現性を高めるための実験条件や相似則に関する検討を行った.

 

10:00-10:15

屋根の雪庇を防止する格子フェンスの効果(2008-2009年冬期)

○川村文芳(北海道開発技術センター)・竹内政夫(NPO雪氷ネットワーク)

これまでの実験や橋梁の落雪防止工で,格子フェンスはクリープを抑え格子面からの雪抜け出しを防止できることが知られている.これを住宅の屋根に適用し,雪庇防止の効果を観測している.2007-2008年はフェンス高を30cmとし,水平方向に張り出す雪庇形成を防止する効果を確認した.その中でフェンスを越えた雪が雪庇になり,1,2日で落下する事例があった.2008-2009年は,フェンス高20cm,40cm,60cmの3種類のフェンスで観察し,強風による雪庇の形成防止及びフェンス高の違いによる雪庇形成と落雪状況を観察したので報告する.

 

10:15-10:30

吹雪時に人間が感じる視程と視程計や吹雪計による計測値との関係

武知洋太・松澤勝・中村浩(土木研究所寒地土木研究所)

本研究では,道路交通により適した視程の計測・評価方法の確立に向け,石狩吹雪実験場で吹雪時に視程板を被験者に視認させ,人間が感じる視程と視程計で計測される気象光学距離(MOR)との差異や雪粒子の通過量や粒径との関係について調査を行った.その結果,人間が感じる視程はMORに比べ短い傾向があること,飛雪流量との相関が高いことを明らかとした.また,既往研究の飛雪流量と視程の関係式から推定される視程に比べ,同じ飛雪流量でも本研究で得られた人間が感じる視程は短い傾向が見られた.

 

10:30-10:45

寒さの害の一形態としての針葉樹類の幹の日焼け・樹皮剥がれについて

斎藤新一郎(北海道開発技術センター)

寒さの害として,凍裂が知られている.日較差の大きい,極寒地(冷気湖)において,南西側の樹皮+材が割れ,傷口の癒合のために,縦に長く,クチバシ状の異常肥大成長が生じる現象であり,特にトドモミに知られている.ところが,それほど日較差が大きくない地域(石狩平野)においても,やはり,下枝が高くまで失われた針葉樹類の,幹の南西側に,日焼けに由来する樹皮の枯死・剥落・材の剥き出し(日焼け・樹皮剥がれ)が生じることが見いだされた.並木,防雪林,などの道路緑化において,これへの対策が望まれる.

 

10:45-11:00

一般国道12号岩見沢市岡山地区における道路防雪林の植栽経過,現況および向後の対策について

阿部正明(北海道開発技術センター)・岸梅有祐(北海道開発局)・斎藤新一郎(北海道開発技術センター)

一般国道12号岩見沢市岡山地区の道路防雪林は,昭和52年(1977)に成木移植方式で造成され,30年以上を経過している.本道路防雪林は,地上部と比較して,地下部が小さかったため,活着不良で補植が繰り返された.また,地上部と地下部のアンバランスから,下枝が高く枯れ上がった.その後,幹に日焼け・樹皮剥がれが見いだされ,材の腐朽が始まり,安全上からも更新を考える時期になった.本論では,それらを踏まえた今後の対応策(保育管理・更新手法)について提案するものである.

 

休憩(10分)

 

Session II (雪崩)11:10-12:10

座長:今西伸行(ドーコン)

 

11:10-11:25

すり抜け雪崩と点発生乾雪表層雪崩(スラフ)

竹内政夫(NPO雪氷ネットワーク)

雪崩予防柵をすり抜けて道路に達するすり抜け雪崩は,勾配35°以上の急斜面に短時間で大量の乾雪が積もった時に発生する表層および全層雪崩である.平成10年に初めて報告されたが,最近発生事例が多い.雪が積もることのなかった急斜面にも大量に雪が積もるようになったのも一因と考えられている.スラフは降雪が積もる間もなく発生する小さな点発生表層雪崩で,安息角を超える斜面に発生するとされ,急斜面に雪が積もらなくするのですり抜け雪崩の発生を防ぐ雪崩の安全弁の働きをする.すり抜け雪崩とスラフの実態と特徴について述べる. 

 

11:25-11:40

すり抜け雪崩と点発生乾雪表層雪崩(スラフ)を分ける雪の安息角

成田英器・竹内政夫(NPO雪氷ネットワーク)

統計で勾配40度以上の急斜面で発生する雪崩が少ないのは単に雪が積り難いからである.雪の安息角より急な斜面では落下した雪粒子は転がり落ち,また積もっても端から点発生表層雪崩となって滑り落ちるからと考えられる.いずれも雪の安息角がキーワードになっている.新雪を口径0.83,2.0,3.8mmの篩によって分けて安息角を測定した.粒径と雪結晶形によって整理した結果,粒径が大きいほど樹枝状六華のように形の不規則度が大きいほど,安息角が大きくなる傾向があり,安息角56-57°(0.83mm以下の角板)でスラフが発生したのを観察した.

 

11:40-11:55

2009年3月羊蹄山雪崩積雪調査について積雪観測結果と気象からの考察

中村一樹・中林宏典(日本気象協会北海道支社)・秋田谷英次(NPO雪氷ネットワーク/北の生活館)

2009年3月2日に羊蹄山で負傷者を伴う雪崩が発生した.2009年3月6日に,羊蹄山京極登山口及び倶知安にて積雪断面観測を実施したので報告する.両地点では,積雪表面から30cm前後に雲粒なし結晶の弱層が存在した.気象データと積雪断面観測結果,及び降雪の雪結晶観測結果から考察した.2009年2月20日に北海道付近を通過した低気圧の前面降水で雲粒なし結晶の降雪となった.その後,21日の低気圧通過時及び,低気圧通過後の冬型の気圧配置時に,降雪や吹雪,吹きだまりが発生し,積雪の急激な堆積により,雲粒なし結晶が積雪内に保存されたものと推定された.

 

11:55-12:10

2009年2月にニトヌプリで発生した雪崩の調査報告

山野井克己(森林総研北海道支所)・杉山慎(北大低温研)・大西人史・高橋学察(雪崩事故防止研究会)・中村一樹(日本気象協会北海道支社)

2月8日午前9時55分ごろ,ニセコ山系ニトヌプリの南西斜面(標高742m付近;傾斜40°)で雪崩が発生した.走路中の標高685m付近を登高していた10人の内,4人が巻き込まれた.雪崩は標高差77m,距離148mを流下した.雪氷災害調査チームでは発生2日後に調査を行い,破断面の一部を確認した.破断面を含む積雪断面を掘り出して観測を行った結果,積雪表面から75cmの深さにあるこしもざらめ雪の弱層の破断により発生したものと考えられた.周辺の気象データから,弱層となったこしもざらめ雪の発達が説明できた.

 

昼食(65分)

 

 

Session III (積雪・着雪・雪渓)13:15-14:15

座長:八久保晶弘(北見工大)

13:15-13:30

樹冠による降雪遮断量の評価

久野友靖(北大環境科学院)・兒玉裕二・中井太郎・石川信敬(北大低温研)

森林など植生地では,降雪は葉・枝・幹,茎などに遮られて地面に降る降雨雪量が少なくなる.この降雪が植物に遮られ植物に付着する現象を降雪遮断という.積雪森林流域における積雪水量の変動は,森林樹冠による降雪遮断の影響が大きい.そのため,降雪遮断量を的確に評価することは積雪森林流域の水循環を把握する上で重要である.本研究では降雪遮断量の評価を目的として,針広混交林・ダケカンバ林の二つの森林の林内外で積雪水量調査を行い,積雪水量・降雪遮断率の季節変化を求め,さらに,開空率や気象要素とも合わせて議論を行った.

 

13:30-13:45

地中レーダー(GPR)による知床峠の積雪観測(2009年)

木下陽介・高橋修平(北見工業大学)・浜名裕司(石川島建材工業)

2009年3月15日地中レーダー(GPR)を用いてウトロ側から知床峠までの知床横断道路上の未除雪区間の積雪を観測した.また,今冬の知床峠の積雪深経過をインターバルカメラによって4地点で観測した(2008年11月~2009年5月).GPR観測には広範囲の積雪状態を非破壊かつ高速に観測できる利点があるが,雪面信号や地面信号の判別に問題が残っている.そのため,GPRシステムノイズと地面信号を見分ける手法も見出した.

 

13:45-14:00

架空電線の捻れ剛性を模擬した電線サンプルによる着雪観測

久保雅弘・○藤井敬太郎(北海道電力総合研究所)・高橋忠大(ジェイ・パワーシステムズ)

送電線に取り付ける雪害対策品(難着雪リング,捻れ防止ダンパー,相間スペーサ)の難着雪効果を確認するためには,定量的な電線着雪量の評価が極めて重要である.このため,その前段として,自然条件下における電線着雪(中でも電線を捻りながら発達する着雪)の状況やその発達過程を確認する目的から,2007年度より,様々な架線条件の捻れ剛性(捻れにくさ)を模擬した電線サンプルの着雪状況および着雪時の気象を観測している.本発表では,これまでの観測によって得られた結果とその考察について報告する.

 

14:00-14:15

大雪山「雪壁雪渓」の変動

高橋修平・亀田貴雄・榎本浩之(北見工業大学)

大雪山「雪壁雪渓」では1960-1970年代にかけて北大低温研の雪渓研究グループにより活発な観測が行われ,多くの雪氷学的研究が行われた.その後10年の中断の後,北見工業大学雪氷研究グループが1989年に観測を再開し,現在も観測を継続している.雪渓規模の変化を並べると,拡大期と縮小期の2パターンが見られ,降雪量,夏期気温の影響が大きいとは思われるが,縮小に向かうときは,表面汚れ層が大きな役割を果たしていることが考えられる.

 

Session IV (生活・ハイドレート・氷河・海氷)14:15-15:30

座長:高橋修平(北見工大)

14:15-14:30

冬季の公園における雪上活動の呼吸循環応答

須田力(北方圏体育スポーツ研究会)

北海道の住民は,子どもの体力の全国最下位レベル,成人の肥満傾向が問題となっており,この原因のひとつに雪に埋もれたままの公園に象徴される冬季の身体活動量の減少が指摘されている.2008年2月,札幌市東区の公園における冬季の雪上活動のイベント時に小学生3名および成人5名を被験者として身体活動時の心拍数および呼吸代謝指標を測定した結果,子どものそり遊び,イグルー作りでのブロックをつくるための深雪の踏みつけ,かんじき歩行などの雪上活動が最大酸素摂取量を向上させる強度を充足していることが明らかとなった.

 

14:30-14:45

ガスハイドレート生成時のゲストガス同位体分別~バイカル湖の天然ガスハイドレートの例~

八久保晶弘・小関貴弘・中畑良紹・坂上寛敏・南尚嗣・庄子仁(北見工業大)・O.Khlystov(Limnological Institute, SB RAS)

ガス分子(ゲスト)を水分子(ホスト)がカゴ状に包接してできるガスハイドレートは,生成時に同位体分別を引き起こす.ホスト分子の同位体分別については,氷生成時のそれと同様であることが知られていたが,ゲスト分子でも分別が起こることが室内実験で確認された.このことをふまえて,ロシア・バイカル湖で採取された天然ガスハイドレートの解離ガスと湖底堆積物の間隙水溶存ガスの炭素・水素同位体比を調査した結果,ガスハイドレートの生成時期推定に有用な情報となることが示された.

 

14:45-15:00

2008年アラスカ・オーロラピークにおける氷河流動測定・氷厚探査

福田武博(北大環境科学院)・杉山慎(北大低温研)

本北太平洋北部の物質輸送と古環境復元を目的とし,2008年5月にアラスカ・オーロラピークでアイスコア掘削が行われた.掘削を行った地域の氷河流動状態を理解するために,GPSを用いた氷河表面地形と氷河流動速度観測,およびアイスレーダーを用いた氷河厚探査を行った.解析の結果,掘削地点を中心とした放射状の流動場と,氷河表面と岩盤とで大きく異なる地形が明らかになった.

 

15:00-15:15

マッコール氷河における降雪及び融解,再凍結の考察

日下稜・高橋修平(北見工業大学)

アラスカ,ブルックス山脈にあるマッコール氷河(69°N,143°W)は近年50年で末端部がおよそ1km後退している.そこで,氷河の質量収支を知るために涵養量の評価が重要である.本研究では涵養に関する要素のうち降雪及び融解,再凍結による影響を評価することを目的とし以下のことを行った.降雪,融解による涵養に関し,氷河内部の温度変化から雪面レベル変動の推定.融解水の進入及び氷河内部での再凍結に関する考察を行った.

 

15:15-15:30

知床半島ウトロを中心としたオホーツク海南西部における海氷勢力と沿岸の気象条件

小杉知史・高橋修平・堀彰(北見工業大学)

知床半島は世界自然遺産に登録され,今まで以上に自然環境を保護する必要性が出てきた.この地域は北半球で最南端の海氷接岸地域であり,海氷がこの地域の気候や生態系に与える影響が大きい.近年の地球温暖化によってオホーツク海南西部に流れてくる海氷の量は減り,接岸時期は遅れ,接岸期間も短くなっている.そのため,この海氷の変動が知床半島の気象にどのような影響を与えるのか知る必要がある.そこで今回,知床半島斜里町ウトロを中心に,オホーツク海南西部における海氷と北海道沿岸地域での気温や風との関係について発表する.

 

 

休憩(15分)

 

 

Session V (剪断強度)15:45-16:30

座長:山野井克己(森林総研)

15:45-16:00

自然積雪でのベーン試験器とシアフレームの剪断強度測定比較

大場亜紀・日下稜・高橋修平(北見工業大学)・発表キャンセル

北海道東部は冬季夜間の冷え込みが厳しくしもざらめ層が発達し弱層となり道路法面では雪崩の原因となる.積雪内部の強度を測る方法としてシアフレームやベーン試験器によるせん断応力試験がある.シアフレーム試験は雪を掘らなければならず,試験実施自体が雪崩誘発の危険性がある.そのため短時間で積雪断面を掘り出さずに行える試験方法の開発が求められている.本研究では各種形状ベーン試験器と,積雪断面を掘らずに試験の行える延長棒付ベーンを試作しシアフレームとの剪断強度を比較して有効性を調べる実験を行った.

 

16:00-16:15

ベーンの回転速度と剪断強度およびプッシュゲージの直径と硬度との関係

○横山博之・松澤勝・松下拓樹・布施浩司・坂瀬修(寒地土木研究所)

雪著者らは簡易な積雪の剪断強度把握手法として①『ポータブルなベーン試験器による計測』②『携帯式荷重測定器(プッシュゲージ)による硬度からの推定』の研究に取り組んでいる.本研究では以下の2点について試験を行った.①ベーンの回転速度の依存性②プッシュゲージの直径の依存性.その結果,①では回転速度が大きくなるほど剪断強度が小さくなる傾向がある.②では直径8mm~60mmの範囲では,径が大きくなるに従い積雪硬度が小さくなる傾向があるという結果が得られた.

 

16:15-16:30

あられを含む積雪の剪断強度の時間変化について

松下拓樹・松澤 勝(寒地土木研究所)

雪崩発生に関わる斜面積雪の安定化判断に資するため,弱層の一つである霰(あられ)を含む積雪の剪断強度の時間変化に関する測定を行った.測定は札幌市内で行い,降雪直後の霰を含む積雪とその3日後に積もった霰を含まない積雪を対象に,約2週間に渡り剪断強度や雪温等を測定した.その結果,降雪から数日間,霰を含む積雪の剪断強度の増加速度は,霰を含まない場合の約1/2であった.その後,霰の粒形状が不明瞭になると,霰を含む積雪の剪断強度は,含まない積雪と同程度の速度で増加した.なお雪温は-1~-3℃であった.

 

 

Session VI (道路)16:30-18:00

座長:松澤 勝(寒地土研)

 

16:30-16:45

光学センサーを用いた路面凍結検知計開発の研究

ヌアスムグリ アリマス・高橋修平(北見工業大学)

冬期間に発生する凍結路面を検知する光学的凍結検知計を開発,試験中である.点滅LEDライトの反射信号を,二つのフォトダイオードセンサーで受光し,「明度」や「鏡面反射度」を求め,乾燥,湿潤,圧雪,ブラックアイスバーン等の路面種別を判断した.さらに,装置を車載型に改良し,北見市内や国道39号石北峠付近の路面凍結観測を行った.走行観測においては凍結検知計のほか,ビデオカメラ,路面放射温度計,気温計による観測を行った.

 

16:45-17:00

精糖残渣(ライムケーキ)を活用した凍結路面対策に関する研究

高橋尚人・徳永ロベルト(寒地土木研究所)・舟橋誠(北海道開発局)・河端淳一(NPO北海道産業技術支援協会)  

積雪寒冷な地域では,凍結路面対策として凍結防止剤と防滑材の散布を行っている.なかでも,凍結防止剤の散布効果が現れにくい低温地域・多雪地域では,防滑材の散布が多く行われている.北海道循環資源利用促進協議会では,北海道の主要農作物である甜菜から砂糖を製造する過程で発生する精糖残渣(ライムケーキ)を固形化し,防滑材として利用することを検討している.筆者らは,試験道路及び実道でライムケーキの散布効果を実施しており,本稿では,同協議会における検討の概要と散布試験の結果について報告する.

 

17:00-17:15

路面のすべり抵抗値を用いた冬期道路の性能評価手法の開発について

徳永ロベルト・高橋尚人・浅野基樹(寒地土木研究所)

冬期道路の性能評価には,冬期交通特性と冬期路面状態の関係把握が必要であり,これらの関係把握において車両の運動性能に直接的な影響を及ぼす路面のすべり抵抗値は重要な要素である.本研究では,冬期道路の性能評価による適切な冬期道路管理手法の開発に向け,路面のすべり抵抗値を連続的に計測することが可能な測定装置を導入し,札幌圏内国道における冬期路面のすべり抵抗値と冬期交通特性データの収集と相関把握及び冬期道路の性能評価手法の検討を行っている.本報では,これまでの取り組み状況と主な結果について紹介する.

 

17:15-17:30

凍結防止剤の事前散布効果に関する基礎的考察

宮本修司・徳永ロベルト・高橋尚人・熊谷卓士(寒地土木研究所)

凍結防止剤の事前散布は,路面を湿潤状態やシャーベット状態に保つことにより,路面のすべり摩擦係数を高い値で保持することを目的に行われている.しかし,散布後の時間経過等に伴う凍結防止剤の残留量や温度の低下により,凍結路面が出現する場合がある.本研究では,凍結防止剤の種類,濃度及び温度を踏まえた凍結防止剤の事前散布による効果を検証するため,室内型低温施設において水及び凍結防止剤水溶液を低温下で一定時間放置し,これらの状態変化を目視により観測・評価した.本稿では当該試験の主な結果の報告と考察を行う.

 

17:30-17:45

大きくなる気候変動と冬期道路管理

石本敬志・松岡直基(日本気象協会北海道支社)

地球規模の気候変動は,北太平洋や北大西洋など大陸の東側で,冬の低気圧の発達度合いを大きくすると言われており,大雪や凍雨による着氷,吹雪などが交通網や社会生活に大きな影響を与えている.近年,社会・経済活動は広域化し,冬でも安定した道路交通維持を前提にしており,大規模な雪氷災害には,一昔前よりも脆弱になっている側面もある.ここでは,アジア,北米,欧州におけるそれら低気圧による災害の特徴をまとめ,それらの雪氷災害に対し,社会的影響を小さくするために各国が行っている実態をふまえた今後のあり方を提案する.

 

17:45-18:00

道路法面の小段が持つ全層雪崩抑止効果の評価モデル

○松澤勝・横山博之・松下拓樹・坂瀬修(寒地土木研究所)

北海道開発局の道路設計要領では,切土高5~10mに1箇所小段を設置することになっており,標準では切土高7m毎に1.5m幅の小段を設置することとしている.雪崩対策での階段工と同様に,この小段は,雪崩抑止効果を有すると考えられる.今回,切欠型階段工の設計に用いられているモデルを参考に,切土小段の全層雪崩抑止効果の有無を判断するモデルを考案した.試算の結果,一般的な土質の切土勾配1.2割(傾斜角39.8°)の斜面の場合,積雪深2.0mの場合は,小段幅1.5mで十分であるが,積雪深2.5mの場合は,2.0mの小段幅が必要であるという結果が得られた.

 

18:00-18:05

「北海道の雪氷」への投稿について

 

会場の様子

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