氷河・氷床の用語集

(国際雪氷委員会発行,地上および地下の万年雪氷の世界目録指針,
IHD決議,1967による.若浜,1978)
1桁目 2桁目 3桁目 4桁目 5桁目 6桁目
基本的分類 涵養域 末端部形状 縦断面形状 涵養源 末端部活動
大陸氷床 複合流域 山麓型 平 坦 積 雪 著しい後退
氷 原 複合涵養 末端拡張型 懸 垂 なだれ やや後退
氷 帽 単純涵養 ローブ型 階段状 結氷など 停滞
溢流氷河 圏 谷
(カール)
浮遊分離型 氷 瀑 やや前進
谷氷河 ニ チ 癒着型 著しい前進
山腹氷河 火 口 進退繰返し
(可能性有)
小氷河,雪原 進退繰返し
(明瞭)
棚 氷
岩石氷河
上に入らないもの 上に入らないもの 上に入らないもの 上に入らないもの 上に入らないもの 上に入らないもの

 #例えば,「積雪で涵養されてできた何本かの氷河が合流し,1本の氷河となって谷を流れ下っている,
途中に氷瀑が多い,末端はやや前進中」といったばあいは,510414で記載される。

(日本雪氷学会編「雪氷辞典」(1990)より)



<表の説明>
1桁目:基本的分類
  1. 大陸氷床:106km2より大きく,大陸を蔽うもの。
  2. 氷原:下の地形が推定できるていどの厚さで,シーツまたは毛布状の氷。
  3. 氷帽:ドーム状の氷で,氷は周囲に向かって流れ出す。
  4. 溢流氷河:氷床または氷帽から流れ出た氷河で,通常谷氷河を形成する。流域ははっきり輪郭を引けない。
  5. 谷氷河:谷を流下する。流域は明瞭。
  6. 山腹氷河:圏谷氷河,ニチ,火口型。
  7. 小氷河と雪原:小氷河は凹地や河床の中,および,ふきだまりやなだれ,また,数年間のとくに多い積雪量から成長した斜面上の形のきまっていない大きい氷の塊である。目立った流れは見られず,従って雪原との明瞭な区別はない。少なくとも二夏は存在すること。
  8. 棚氷:氷河・氷床が海に流れ出して浮いているもの。
  9. 岩石氷河:すき間に氷,フィルン,雪をつめているような岩石の多い氷河。谷の中にあり,ゆっくり流下する。

2桁目:涵養域
  1. 複合流域:2つ以上の谷氷河が合流してひとつになったもの。
  2. 複合涵養:2つ以上の涵養域により養われる氷河系。
  3. 単純涵養:涵養域がひとつのもの。
  4. 圏谷(カール):山腹にある独立したまるいくぼみにある。
  5. ニチ(Niche):V字谷または斜面のくぼみにできる小さな氷河。
  6. 火口:雪線より上にある死火山または休火山の火口にある。

3桁目:末端部の形状
  1. 山麓型(Piedmont):ひとつまたは多数の氷河が横に拡がったり合体して低地の上にできた氷原。
  2. 末端拡張型:氷河の下流部で谷の壁がなくなり,より水平な地表に拡がったもの。
  3. ローブ型:氷床や氷帽の一部で耳たぶ状にたれ下ったもの。
  4. 浮遊分離型:海や湖の中に十分伸びた氷河末端で,こわれては氷山を作る。
  5. 癒着型

4桁目:縦断面形状
  1. 平坦
  2. 懸垂:けわしい山腹にはりついたものか,懸垂谷から出るもの。
  3. 階段状
  4. 氷瀑


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(社) 日本雪氷学会北海道支部