写真集

吹雪のすがた 七態

激しい吹雪の中でカメラを構えても,なかなか吹雪の雰囲気を伝えるような写真を取ることは難しいものです.吹雪の写真といえば,南極カタバ風による猛吹雪の様子やサスツルギ等がイメージされますが,今回の雪氷写真館では,ふだん目にすることのできない吹雪の風景やその爪痕なども含め7枚の写真を集めました.


写真1.ツンドラの冬 〜極北アラスカ・バローの大雪原を極夜の満月時に這う吹雪(北緯71.32°,西経156.60°)〜杉浦幸之助撮影

写真2.風洞内に再現した吹雪の跳躍運動
佐藤威撮影

写真3.北海道の集合住宅周辺の吹きだまり
堤拓哉撮影

写真4.道路を横切る地吹雪
佐藤威撮影

写真5.道路のり面上に形成された吹きだまり
川島由載撮影

写真6.供用道路における吹雪調査の様子
大槻政哉撮影

写真7.吹雪視程障害による路外逸脱車両
伊東靖彦撮影

写真1:北極海沿岸部に位置するアラスカ・バローでは,11月末頃から1月末頃までの約2カ月間にわたり,1日中太陽の出ない極夜が続く.降水量の月別平年値は夏期26.4mmに対して冬期は2.4mmと少なく,気温は夏期の4.7℃から冬期-26.7℃と寒冷で,ツンドラ気候に属している.風が強まると雪が降っていなくても吹雪が発生して,一端降り積もった雪粒子は風下に輸送される.その一部が再配分され,また一部が昇華蒸発することにより,吹雪はツンドラの水循環に影響を与えている.

写真2:低温風洞内に雪面を形成し雪粒子を気流中に流入させることにより,飛雪粒子の跳躍運動メカニズムの詳細観測が可能となる.手前が気流計測のための超音波風速計,奥が飛雪流量計測のためのスノー・パーティクル・カウンター(SPC).

写真3:吹雪により建築物の周囲には吹きだまりが,屋根には雪庇が形成される.吹雪によるこれらの現象は,維持管理をする上で大きな負担となる.

写真4:降雪がない地吹雪の状態で,防雪柵のある場所から撮影した.地吹雪の厚さとともに視程が非常に低下しているのがよくわかる.

写真5:吹雪は,気流の剥離した領域に吹きだまりを形成する.写真は,道路のり面上部に大規模な吹きだまりが形成され雪崩柵が埋没している状況で,吹雪が雪崩の危険性を増長させる一例を示している.

写真6:厳冬期の吹雪調査は過酷な条件で行われる.供用路線で行う際には、交通事故に巻き込まれないように安全意識の徹底、人員配置等への十分な配慮が求められる.

写真7:激しい吹雪により,吹きだまりや視程障害が生じて道路上の車両走行が困難となる.(2008/4/2 根室市にて)

※それぞれの写真の著作権は、撮影者に帰属します。