Japanese Society of Snow and Ice

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2008年度 春の講演会

— カテゴリ:

「寒冷地の気象資源、雪氷冷熱の利用」・「北海道の低温を利用した寒締めホウレンソウ栽培」

2008年度 春の講演会

日 時: 2008年4月10日(木) 13:30〜15:30
会 場: 北海道大学百年記念会館大会議室 (札幌市北区北10条西6丁目)
参加費: 無料
講 演:

「寒冷地の気象資源、雪氷冷熱の利用−アイスシェルター技術の実際と今後の展望−」
北海道大学大学院農学研究院教授/NPO北海道自然エネルギー研究会会長 浦野 慎一 pdficonsmall.gif
ポスター
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要旨
「北海道の低温を利用した寒締めホウレンソウ栽培」
北海道農業研究センター主任研究員 濱嵜 孝弘

 


講演要旨:

寒冷地の気象資源、雪氷冷熱の利用

ーアイスシェルター技術の実際と今後の展望ー

雪氷は自然エネルギーとして利用可能な寒冷地特有の気象資源である。雪氷、凍土は、中の氷に潜熱の形で「冷熱」が蓄えられているため、それを夏期まで保存すれば冷熱として利用できる。雪氷冷熱は、自然の積雪を集めて利用する雪利用が最も簡単であるが、氷、凍土の場合は、利用は効率を高めるためそれぞれ貯氷タンク、ヒートパイプが必要になる。しかし、氷を使えばタンクの水が凍結・融解するときの潜熱をうまく利用することで、冬も含めて1年中安定した低温空間の創出が可能になるという、大きな利点がある。タンクの水の入れ替え作業も不要である。これにより、労力と電力をほとんど使わない省エネ型の農産物長期低温貯蔵が可能になる。自然氷を活用するこの技術は、一般にアイスシェルターと呼ばれており、新しい省エネ技術としてその実用化が期待されている。本講演では北大の実験施設で得られた知見をいくつか紹介し、今後の課題と展望を述べる。

「北海道の低温を利用した寒締めホウレンソウ栽培」

元来冬が旬とされるホウレンソウは耐凍性が高く、凍るほどの低温に遭うと糖分等を蓄積し、凍害を回避する。「寒締めホウレンソウ」はこの性質を利用して真冬の無加温ハウスで品質を向上させたホウレンソウである。糖度以外にもビタミン類の含有率が上昇し、一方で「アク」とされるシュウ酸は変わらず、硝酸は減少する。糖度(BRIX)の上昇は地温の低下と関係があり、通常の糖度5前後から、深さ10cmの日平均地温が5℃以下になると糖度が8程度、2℃以下で糖度は12度に達する。一方、終日の凍結が続くと、光合成が出来ず糖度が上がりにくいので、夜間は凍結し日中は凍結が解除される温度管理が理想となる。糖度が上昇するほどの低温下ではほとんど生育しないことから、栽培にあたっては低温遭遇前に十分に生育させることも要点となる。道内の気候条件から、札幌を例にすると9月下旬播種、12月中下旬収穫の作型が適する。
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