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2016年度 地域講演会

上富良野町:雪下ろしの安全対策について

2016年度地域講演会の開催報告

 

1.開催概要

日本雪氷学会北海道支部では,「雪氷」に関する啓蒙普及活動を目的として「地域講演会」を札幌以外の北海道各地において毎年開催している.2016年度の地域講演会は,十勝岳連峰の麓に位置する上富良野町において町民向け研修事業の一環として開催した.上富良野町では平成5年以降,社会福祉協議会が主体となり除雪や雪下ろしのボランディア活動が行われ.毎年,町内で行われる一斉除雪は,企業や学校,自衛隊OBなど16団体,延べ600人が参加する一大イベントとなっている.

一方,町内の高齢者世帯が大幅に増加したことにより,雪下ろしの支援要望が年々多くなっており,ボランティア従事者の安全対策が課題とされている.開催概要は以下のとおりである.

 

開催概要

  講 演:「雪下ろしの安全対策について」

  日 時:2017年1月21日(土)13:00~16:00

  会 場:上富良野町保健福祉総合センター

  講 師:堤 拓哉(北海道立総合研究機構)

  主 催:上富良野町社会福祉協議会

  共 催:日本雪氷学会北海道支部

  参加者:42名

 

2016lec_fig1

図1 講演会の模様

 

2. 講演の模様

講演には中学生を含む町内のボランティアら42名が参加した(図1).講演では,最初に「北海道における雪下ろし事故の状況」について,統計データに基づき,雪下ろし関連の事故は雪の事故全体の6~7割を占めること,上川・空知地方における死傷者が多いことなどの説明があった.次に「雪下ろし事故の要因」について,気象的要因,建物要因,人的要因に整理し,解説がなされた.建物要因として北海道の住宅は雪下ろしを考慮していないこと,滑りやすい屋根材が用いられていることが挙げられた.人的要因については,作業が不慣れなことに加え安易に雪下ろしを実施することが指摘された.

以上の背景を踏まえて,雪下ろしの安全対策について説明が行われた.雪下ろしの安全対策として,必要な道具の解説,道具の使用方法および注意点の説明がなされた.参加者は実際に道具に触れて,ロープの結び方,ハーネスの装着方法などを練習した(図2).

 

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図2 雪下ろしの道具を手に取る参加者

 

雪下ろし作業の手順を一通り説明した後,屋外で安全な雪下ろし作業の体験を行った(図3).屋外では命綱を固定するアンカーの設置方法,ハシゴの登り方について解説すると共に,ハーネス装着時の安全性について体感して頂いた(図4).

 

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図3 屋外での雪下ろし体験の模様

 

 

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図4 ハーネスの安全性を確かめる参加者

 

 

3.おわりに

本講演内容はDVDに編集され,上富良野町内での安全教育等に役立てられる予定である.

 

謝辞

開催にあたり,上富良野町社会福祉協議会から会場の手配から運営に至るまで全面的なご協力を頂きました.ここに記して感謝申し上げます.

(北海道立総合研究機構 堤拓哉)

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