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2007年度 地域講演会

— カテゴリ:

函館市:「北国に生きる ~雪氷圏の海、生活、歴史を学ぶ~」

2007年度 地域講演会 開催報告 

「北国に生きる ~雪氷圏の海、生活、歴史を学ぶ~」

 日本雪氷学会北海道支部では、2007年12月8日(土)、函館市民会館にて、土木学会北海道支部(共催)と函館市(後援)のご協力を得て、「北国に生きる ~雪氷圏の海,生活,歴史を学ぶ~」と題する地域講演会を開催し、3名の講師から講演していただきました。
 
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写真1 講演会会場の様子
 
 

講演:「北国の冬の雪氷環境と私たちの生活~自然と人の共生を考える~」

秋田谷英次氏(NPO法人雪氷ネットワーク(北の生活館館長))

自然と人の共生の実現に向けて、私たちがどのように雪や氷、そして自然に接していけば良いのか、様々な角度の事例から説明がありました。特に、自然に親しんで理解することで、人は自然に生かされていることを実感することが大切であり、子供の頃から雪遊びをすることで、冬は寒くてきつい、自然は思い通りにはならないことを学び、臨機応変な対応が身に付いてたくましくなることが指摘されました。

質問:利雪の具体事例は?
回答:本格的な研究は室蘭工業大学で行われている.自治体の例では,沼田町や美唄市で米や野菜の貯蔵に雪を冷熱エネルギーとして活用している.また,新エネルギー法の施行により,こうした自然エネルギーの活用が促進されている.

質問:弱層の見分け方を,HP等で知るには?
回答:雪氷学会北海道支部の雪氷災害調査チームのHPの他,北海道雪崩研究会や雪崩事故防止研究会などのHPから情報入手が可能で,書籍「最新雪崩学入門」からも知ることができる. 
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写真2 秋田谷英次氏の講演の様子 

講演:「亜寒帯の海洋環境と生物生産~北の海が育む海の幸~」

齊藤誠一氏(北海道大学大学院水産科学研究院)

北国の海の特徴の一つである流氷が、どのように生物生産に寄与しているのか、オホーツク海に接岸する流氷と生物生産の関わりとして、オホーツク海の地まきホタテガイ漁場を例に説明がありました。特に、流氷が早く離れると餌となるプランクトンが少なくなるため、ホタテガイの成長に影響することが指摘され、これを監視する技術として衛星リモートセンシングを活用した技術が紹介されました。

質問:ホタテの成長と宗谷暖流の関わりは?
回答:宗谷暖流そのものではなく,その北側の細い冷水帯との境でプランクトンが多量に発生し,ホタテの成長に寄与している.この冷水帯の存在が,流氷がなく氷縁域ブルームが発生しない季節において重要な役割を担っている.

質問:ホタテの養殖において,オホーツク海沿岸の北側と南側では,どちらが有利なのか?
回答:網走沖など南側の方が,興部沖などの北側の区画に比べて生産力が大きく安定している.この理由は,先ほど説明した細い冷水帯の下流に位置しているため,豊富なプランクトンの供給があるからである.
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写真3 齊藤誠一氏の講演の様子


講演: 「文明開化のサクセス・ストーリー~函館氷の誕生~」

猪上徳雄氏(函館短期大学)

明治初期、五稜郭外堀の天然氷を切り出して売り出し、機械氷が普及するまで二十年間にわたって函館に莫大な富をもたらした、中川嘉兵衛の歴史的秘話が紹介されました。東京から箱舘まで郵便が届くのに約30日を要した明治初期に、なぜ函館の地でこのサクセス・ストーリーが可能だったのか、時代背景を交えながら中川嘉兵衛の苦難と偉業を学びました。

質問:函館氷の運搬は,どのように行われたのか?
回答:断熱材として籾殻(もみがら),糠(ぬか),藁(わら)の中に氷を入れて船で運び,約80%が融けずに残った.また,冬季に運んで秋まで保存させるので,しっかりした氷室が必要であり,相当な量の氷を運んだと考えられる

質問:函館氷の事業は,その後の函館の経済にどのような影響を与えたのか?
回答:なかなか記述がなく調べきれていない.この事業がその後の函館の経済にどのように貢献したのか,今後調べていきたいと思う.
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写真4 猪上徳雄氏の講演の様子

当日は、休日の開催にも関わらず国や市の行政関係者、気象台やコンサル等の防災に関わる実務者、山岳や自然に関する会の方々など51名の参加があり、たいへん活発な質疑応答が行われるなど熱の入った講演会を開催することができました。お忙しい中、ご参加いただいたき大変ありがとうございました。

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写真5 質疑応答の様子

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2007年12月6日付 函館新聞朝刊

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2007年12月7日付 北海道新聞朝刊(地方版)

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2007年12月9日付 函館新聞朝刊

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2007年12月9日付 北海道新聞朝刊(地方版)

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2007年12月10日付 北海道新聞夕刊(全道版)

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