支部長挨拶


  社団法人.日本雪氷学会は、雪氷学の研究発表や会員相互の情報交換などの活動を通して雪氷学の発展をはかる目的で設立された組織です。雪や氷に関する知識や情報の普及を計る一方、社会からの要請に応えることも目的の一つです。日本雪氷学会は全国を四つの地域に分け、それぞれの地域毎に支部をおいて活動しています。地域によって雪や氷や寒さの質や程度が異なるため、それらと人々の生活との関わりに違いがあるからです。北海道支部はそのうちで最も寒冷な地域におかれた支部で、昭和34年(1959年)に設立されました。来年(平成21年、2009年)で50周年の節目を迎えます。

  日本は冬になると国土の半分が雪に覆われ、そこに二千万人余の人々が生活しています。科学技術が進み世界の先進国と言われるようになった今でも、雪や氷、寒さによって毎年のようにさまざまな不便や被害が発生しています。これを雪氷災害といいます。雪氷災害のごく一部を具体的に挙げますと、豪雪による交通の混乱や屋根雪による建物の倒壊、雪処理中の人身事故、地吹雪による追突事故、路面凍結によるスリップ事故、送電線への着雪による送電鉄塔の倒壊とその結果としての停電、船体着氷による漁船の沈没事故、雪崩遭難、急激な融雪による洪水など様々な災害が毎年のように繰り返されています。その結果、毎年百人単位で人が亡くなっています。道路除雪に莫大な税金が使われていますし、豪雪で一旦交通が混乱すると人と物の流れが滞り、大きな不便と経済的損失を被っています。日本の雪氷学はこうした雪氷災害を防止し軽減するために昭和7〜8年頃(1932〜1933年)に誕生しました。
  当初の雪氷学は雪結晶や積雪、雪崩、吹雪、着氷雪、凍土、流氷、植物の凍害などを研究対象として基礎的及び応用的な研究を進めました。昭和42年(1967)頃、南極観測が探検の時代を終え本格的な調査研の時代を迎えたことから、南極氷床の研究が新たに加わりました。昭和49年(1974年)になると、雪氷学の研究対象が狭い日本から一気に世界へと広がる画期的な時期を迎えました。文部省科学研究費「海外学術調査」が創設されたからです。それ以降、世界の氷河や永久凍土が研究対象となりました。平成の代になると地球環境問題の解決が要請されるようになりました。そのため、これまでの研究に加えて地球表面を覆っている積雪や氷床、氷河、海氷、凍土(これらは地球雪氷圏といいます)が地球環境に与える影響や地球の環境を支える役割などの研究とか、南極氷床中心部で採取された表面から約3000mの深さに亘る直径10cmほどの氷柱(南極氷床深層コア)から地球の古環境・古気候を復元する研究などへと手が広がりました。今やこれらの研究では世界をリードしています。現在、日本の雪氷学の守備範囲は飛躍的に広がっています。
  雪氷学のキーワードは雪と氷と寒さです。このキーワードに絡む研究は全て雪氷学という学問分野に含まれます。例えば、雪結晶や積雪、氷の性質とか雪崩や吹雪、着氷雪を研究するには物理学の幅広い知識が必要ですし、融雪出水を研究するには水文学が、屋根雪の研究には建築学が、凍土の研究には土壌学が、流氷の研究には海洋学が、氷河生物を研究するには氷河学と生物学が、雪氷圏が地球の気候に及ぼす影響を研究するためには化学や気象学、気候学、海洋学、森林学などが、南極氷床深層コアの研究には物理学や化学、生物学などが必要です。例を挙げると切りがありません。こんな具合に、雪氷学は実に様々な学問分野が協力しあって成り立っている学問領域です。だから、雪氷学会の会員には様々な学問分野の研究者がいます。

  雪氷学会は研究者にだけではなく、その研究成果を社会に役立てる役割を担う人たち、身近な雪や氷を教育に生かそうとする人たち、雪や氷や寒さが織りなす魅力的な純白の世界が大好きな人たちにも門戸が開かれています。学会員の多様性が雪氷学会の大きな特徴であり、魅力でもあります。このホームページから雪氷学会本部のホームページにリンクが張られていますので覗いてみて下さい。本部のホームページからはどなたでも自由に、そして簡単に雪氷学会にご入会頂けます。このホームページは日本雪氷学会北海道支部会員の情報交換の場であると共に、北海道支部のさまざまな活動内容や雪氷学の興味ある知識や情報を外部に発信する役割を担っています。雪氷学の対象である降雪や積雪、海氷、世界の氷河や氷床、それに雪や氷や寒さと私たちの生活との関係などを写真でご覧頂けるコーナーも設けてあります。このホームページが道支部の活動を支える礎の一つとしてますます充実し、学会と社会をつなぐ窓口として充分な機能が果たせますように、皆さんのご支援ご協力を期待いたします。

(2007年度支部長 山田知充)



to Home

お問い合わせ先:
(社) 日本雪氷学会北海道支部事務局
nsdkanji@lowtem.hokudai.ac.jp